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科 名: | ツバキ科 Theaceae、チャノキ連 | |||
属 名: | ツバキ属 Camellia Linn. | |||
原始ツバキ亜属、Archecamellia 節 | ||||
中国名: | 顕脈金花茶 xiân mài jin hua cha | |||
原産地: | 中国 広西壮族自治区、ベトナム | |||
用 途: | 観賞用。 |
キンカチャとよく似ており、植栽場所もキンカチャのすぐ近く。GRIN のデータベースに載ってはいるものの、「学名は検証できていない」となっている。 |
植栽場所 |
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メインスロープを登り始めてすぐのクランクを過ぎた左側。スダジイの大木の下だが、一番手前に植えられているので午前中は陽が当たる。 |
樹 形 .2022.8.18. |
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高さ 約1.8 mほど。なかなか上に伸びない。左から光が来るので、葉がすべてスロープの方を向いている。樹皮は灰白色。 |
伸長と開花は冬 |
枝の伸び方 2022.8.18. |
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真夏の状態。スロープに近い位置に植えられているので、ストロボなしで撮影できる。写真にすると、裏に凹んだ葉脈がよりくっきりとする。 |
ここの環境では毎年4葉をつけている。▼が年枝境で、先端部の前年に伸びた部分は ① と ③葉が落ちてしまっている。 芽鱗痕と第1葉の間には早落性の低出葉があり、間隔が長い。第2葉が最も大きく、最後の第4葉が一番小さい。第3と第4葉の節間はごく短い。 |
葉 裏 2022.8.18. |
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葉裏はかなり明るい。鋸歯はさほど鋭くなく、特に基部近くはほとんど無しの状態。 |
成長しだした頂芽 2024.11.17. |
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夏から時間が経ってしまったが、頂芽が成長を始めている。この枝には蕾がないが、ほかの多くの枝では蕾も生長している。 |
側枝についた蕾 2024.11.17. |
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3葉をつけた前年枝(側枝)の葉腋(腋芽の第1芽鱗の腋と推定される)にひとつずつついた蕾。ほかの枝でも、頂芽についている蕾は見かけなかった。早いうちから 萼がはっきりとわかる。 |
出 葉 2024.12.8. | |
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高出葉がぐんぐん伸びて中から白い葉裏の普通葉が出てくる。 ほかの枝では、すでに完全に開葉したものもある。高出葉は 10センチ近くなるものもある。 |
三 色 2024.12.15. |
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大きく広がると 葉裏は緑が濃くなってくる。 |
開 花 2024.12.22. | |
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開花にはばらつきがあるが、年末までにはほとんどが開花した。花は下向きに咲く。 |
満 開 2024.12.28. |
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キンカチャに較べて 花弁が小さい。薄暗いためにブレているが、3つに分かれた柱頭が見える。 |
オオバキンカチャ と キンカチャ の比較 |
オオバキンカチャ | キンカチャ | ||
冬芽の成長: | ![]() 2024.11.23 |
![]() 2022.10.23 全般的に1ヶ月以上早い |
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オオバキンカチャ | キンカチャ | ||
低出葉: | ![]() 2024.12.28 最後の低出葉は 特に白い |
![]() 2022.10.27 淡いピンク色 |
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葉のサイズ: | 和名は「大葉キンカチャ」だが ともに大小があり、どちらが大きいとは言えない。 | ||
オオバキンカチャ | キンカチャ | ||
葉の形: | ![]() 2022.8.18 幅広の楕円形、 基部は鈍形、先は尖らない |
![]() 2022.8.18 細長い楕円形、 基部は楔型、先は尖る |
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葉脈: | 側脈間の凹凸が整っているオオバキンカチャの方が「美しい」と言えよう。 | ||
オオバキンカチャ | キンカチャ | ||
花柄、萼: | ![]() 花柄は短い 早くから萼が濃くはっきりとわかる |
![]() 花柄は少し長め。蕾が大きくなって いるが、まだ萼は黄色みがかっている |
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オオバキンカチャ | キンカチャ | ||
花: | ![]() 花冠のサイズか小さい 外側の花弁と内花弁のサイズ差が無い 雌しべは葯よりも長い |
![]() 内花弁は外側よりもずっと大きい 雌しべは見えていない |
オオバキンカチャの 位 置 |
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E 14 cd | ● | メインスロープ左側、植え込み内 | |
温室内でも 鉢植えされている。 |
名前の由来 オオバキンカチャ Camellia euphlebia | |
オオバキンカチャ 大葉金花茶: | |
ごく近縁の「キンカチャよりも 葉が大きい」のが理由だが、両者ともに葉のサイズには大小があり、一概にそうとは言い切れない。 | |
種小名 euphlebia:美しい葉脈のある | |
本種を記載したのはアメリカの植物学者 シーリー J. Robert Sealy (1907-2000) で、キュー植物園の機関誌『Kew Bulletin 1949』に、「New Name in Camellia」を寄稿した。 | |
![]() 中 略 ![]() |
命名者は シーリーではなく「Merrill ex Sealy」となっていて、メリルである。 |
ラテン語「ex」は、もともとの「~から(場所)、~以来(時)」から転用されて、由来・区分・材料・原因・移り変わり などにも使われようになった。命名者の場合は、 メリルの観察・記述を シーリーが正式に発表したもの ということを示す。 |
最後の2行にはっきりと「種小名はメリルが提案したもの」と書かれている。 |
参考: | 同じ「黄色いツバキ、キンカチャ」の命名にも、このふたりが関与していて、シーリーはこの号の数ページ後に現在の正名である Camellia petelotii を記載している。 |
詳しくは、キンカチャの項の 命名物語 を参照のこと。 | |
年 | 学 名 | 命名者 | 属名・備考 など | |
① | 1924 | Thea petelotii | メリル る | 最初の命名、異名 |
② | 1949 | Camellia petelotii | シーリー | 現在の正名 |
③ | 1965 | Teopsis chrysantha | フー | キンカチャの異名 |
④ | 1975 | Camellia chrysanthaい | 津山 尚 | 同 異名、長く使われていたい |
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