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科 名: | バラ科 Rosaceae | ||
属 名: | サクラ属 Prunus | |||
別 名: | ヒカンザクラ 緋寒桜、タイワンザクラ | |||
植物園の 名札: |
Cerasus campanulata (Maxim.) Masam. et S. Suzuki |
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→ 命名物語 参照 | ||||
原産地: | 中国南部、台湾、ベトナム | |||
中国名: | 鐘花櫻桃 zhong hua ying tao | |||
用 途: | 庭木 | |||
備 考: | 学名は GRIN によるもの。 沖縄のものは栽培されたものではないかという疑いがある。本種との種間雑種や園芸品種にはピンク色のものが多い。 |
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サクラの学名は 各所、各人でまったく違う。 本ホームページでは、米国農務省のデータベース 『GRIN / Germplasm Resources Infor. Network』の学名で統一している。 |
最近(2022年あたりから)、植物園のサクラ属の名札が Prunus から Cerasus に、次々と変更された。 |
①:植栽場所 2012.3.27. |
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桜並木のメインの通り(20番通り)から振り返ったところ。 10年前の写真で、見えている屋根は今は取り壊されてしまった作業機材置き場。本館から曲がって柴田記念館へと行く道の右側にある。 |
樹 形 2023.3.9. |
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機材置き場から東を見ている。右下が柴田記念館。現在の樹高は 9m弱。 |
①:幹の様子 |
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柵内に入れないので目視だが、地際でふたつに分かれたそれぞれの太さは、約 40cm と 30cm。 樹皮は細かな突起で ざらざらで、苔むしている。 |
②:本館裏手のカンヒ 2011.3.13. |
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右側のピンクの花がカンヒザクラ。中央の大きな木はオオヤマザクラ。 |
開きだした花芽 2015.2.15. |
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2月上旬から芽が動き出す。前年枝の葉腋に多数の純正花芽がつく。通常は頂芽が葉芽。 |
蕾 から 開花へ 2012.3.22. |
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短い花梗の先に数個の小花が散形につく。花被はすべて真っ赤。当然ながら、開花は年によって早い遅いがある。 |
蕾 と 満開 2023.3.9. |
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また 同じ枝でも、蕾ばかりの花序と満開のものが同居する。 |
下から 2009.2.21. |
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花は どれも完全に下を向く。この年はことのほか早かった。 |
花弁の形 | 花の断面 |
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いずれも 落ちていた花を使ったもの。結実しないと小花柄ごと落花する。花弁の先にははっきりとした切れ込みがある。 |
花弁のつく位置は右写真の▼辺りなので、子房を囲む細長い筒は萼筒ではなく、正確には「花托筒」となる。 |
花托:ひとつの花のなかで、花葉(萼片・花弁・雄しべ・心皮)のつく部分。 |
開 葉 2023.3.21. |
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花期の終盤には頂芽が伸び出す。幼葉は銅色。成熟した枝では伸びは少ない。小花が散形についているのがわかる。 受精した花?は花冠だけが落ち、緑の子房が膨らみかけるが、まもなくほとんどが脱落してしまう。 |
成 葉 2025.4.6. |
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ただし まだ伸びきっていない。 |
頂芽の基部 |
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花外蜜線 |
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蜜線はバラ科の葉の特徴。托葉は刺状でまるで龍の角か髭?のようだ> |
紅 葉 2012.11.14. |
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きれいに紅葉する。 |
左:ソメイヨシノ と 右:カンヒザクラ |
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カンヒザクラは 10cm程度で、ソメイよりも小形で細長い。 |
カンヒザクラ の 位置 |
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写真①: | C13 d | ● | 機材置き場 横 |
写真②: | E13 a | ● | 本館 裏手 |
名前の由来 カンヒザクラ Prunus campanulata | |
カンヒザクラ:寒緋桜 | |
まだ寒い時期に咲く緋色のサクラで、ヒカンザクラ 緋寒桜とも呼ばれるが、ヒガンザクラ と紛らわしいために、いわゆる標準和名では「カンヒザクラ」とされている。 | |
種小名 campanulata:鐘形の | |
下向きに半開きに咲く花を鐘に例えたもの。 種小名が campanula~ の植物は無数にある。 |
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落ちた花の写真でわかるように本種は離弁花だが、キキョウ科 ホタルブクロ属 Campanula属 は合弁花であるために、花冠の形は大いに異なる。 |
ヤマホタルブクロ Wikiより | ハタザオキキョウ |
![]() Campanula punclata var. hondoensis |
![]() C. rapunculoides |
Prunus サクラ属:スモモ から | |
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カンヒザクラ の命名物語 |
は正名、 | は異名 | ||
図版は、Biodiversity Heritage Library より |
年 | 学 名 | 命名者 | 属名・備考 など | ||||||||||
① | 1825 | Prunus cerasoides | D. ドン | ヒマラヤザクラ | |||||||||
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② | 1883 | Prunus campanulata | マキシモヴィッチ | 本種の正名 | |||||||||
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年 | 学 名 | 命名者 | |||||||||||
③ | 1917 | Prunus cerasoides var. campanulata | 小泉源一 | ||||||||||
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年 | 学 名 | 命名者 | 属名・備考 など | ||||||||||
④ | 1936 | Cerasus campanulata | 正宗 & 鈴木 | 植物園の現在の名札 | |||||||||
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⑤ | 1957 | Cerasus campanulata | ワシリエワ | GRINでの異名 | |||||||||
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