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科 名 : | バラ科 Rosaceae | |||
属 名 : | サクラ属 Prunus | |||
旧 名 : | ヨシノザクラ | |||
英語名 : | Tokyo cherry , Potomac cherry , Yoshino cherry | |||
原産地 : | − (交雑種) | |||
用 途 : | 明治以降に接ぎ木などで増やされたもので、全国のソメイはすべてクローンである。 | |||
備 考 : | 定説は、 父 オオシマザクラ × 母 エドヒガン |
サクラの学名は 各所、各人でまったく違う。サクラ属に関しては、米国農務省のデータベース『 GRIN 』Germplasm Resources Infor. Network の学名で統一する。 |
小石川植物園は ソメイヨシノの学名の発祥の地。初代植物園園長だった 松村任三(1856-1928)が、20番通り脇の中の「どれか」から標本を採取して、1901年(明治34年)に『植物學雑誌』第15巻 に発表したもの。 |
撮影:2012.1.24 |
ソメイヨシノのタイプ標本 |
東京大学総合研究博物館 掲載許可取得済み(東大研博 第6-20号) /転載不可 |
東京大学コレクション IV 『日本植物研究の歴史』 −小石川植物園300年の歩み− /大場秀章 より |
「タイプ標本」とは基準標本とも呼ばれ、学名を付ける・記載する時に指定する、ただ1点の標本のことである。その標本と同じ特徴を持つもの(生きた植物 など)を、その標本に付けられた学名(名前)で呼ぶ、という考え方をとっている。 |
メインストリート 満開のソメイヨシノ 2011.4.7. |
在原 業平の 本心: 世の中に かくも櫻のあればこそ 春の心は 浮かれめでたし |
@:樹 形 2009.4.7. |
正門からすぐの坂道、最初の曲がり角。伸び伸びと左右にバランス良く広がった形だ。2011年秋の台風で 一部の枝が折れる被害があったが、全体としては形を残している。高さ 約 11m。 |
A:樹 形 |
奥の木で 高さ 約 9.8 m。 ソメイヨシノの寿命はせいぜい80年 と言われている。ところが植物園のものは約140年らしい! それは、1875年(明治8年)文部省教育博物館附属・小石川植物園となった時に、園丁の内山富次郎らが染井村から苗木を担いで運んで植えた、という記録があることによる。もしも その時3年生の接ぎ木だとすると 2015年で140年となる。 このように長生きの原因は、樹齢 約70年の時に戦災に遭い、一度上部が焼けた幹から芽吹いた枝が、再び伸びたためだといわれている。根元を踏まれるような状態にもかかわらず、未だに幹が太っていくのは、管理者の努力のたまものだろう。 |
2006.9.24 Ab : 前掲写真 奥の木の幹 2012.3.30 | ||
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左の写真は 右写真の 約6年前。コブができるように 部分的に幹が太くなっていく。 |
B:20番通り中央サークル 2012.4.9. |
B:花房の影 2011.4.7. |
ソメイヨシノに関しては、手に取れる枝がある木が多い。 |
Aa:ピンクのつぼみ 2012.3.30. |
萼と萼筒は赤いが 花弁の部分は濃いピンク色。 |
膨らむと淡くなる 2009.3.24. |
花柄が伸びると垂れ下がり、花の色は白くなっていく。 |
満開状態 と つぼみ 2012.4.9. |
中央が、開いて間もない花。真っ白ではなく 極ごく うすい桃色で、日が経つと中心部が赤くなる。 |
ソメイヨシノの特徴 2012.4.10. |
細長い萼には鋸歯があり、萼筒は長くてほっそり。 毛がある。 |
ソメイヨシノの両親の有力候補であった オオシマザクラ と エドヒガン の花と較べてみる。なお、2015年4月の『NHK サイエンス ゼロ』では、新しいDNA解析の結果、3種が混ざっていることがわかったという。 |
オオシマザクラ | 新規参入 ヤマザクラ |
花柄 | 萼筒 | 萼 | 花径 | |
ソメイヨシノ | 萼筒よりずっと長い | くびれは小さく、毛がある | 鋸歯がある | 3.4 〜 4.4 cm |
オオシマザクラ | 萼筒よりずっと長い | 細長く、下部は細まり毛がない | 長く、鋸歯がある | 4.0 〜 5.4 cm |
ヤマザクラ | 萼筒よりずっと長い | ほぼ同じ太さ、毛がない | 長く、鋸歯はない | 2.5 〜 3.5 cm |
エドヒガン | ソメイヨシノよりは短い | 短く、下部が膨らみ 毛がある | 鋸歯はない | 1.2 〜 2.6 cm |
花径は 『日本の桜/勝木俊雄』による |
エドヒガン 47% |
その解析結果は、(ヤマザクラ 11% × オオシマザクラ 37% ) でできた雑種と エドヒガン 47% の掛け合わせで、さらにその他の要素が 5% あるそうだ。単純な2種の掛け合わせではなく、最後は作出されたものだとしても不明な交雑が入っているわけで、真のソメイヨシノを「再現」するのは難しそうだ。 |
蜜 の 味 2012.4.8. |
園内の写真ではないが、風もないのに花ごと落ちていることがある。これは スズメをはじめとした鳥が、蜜を舐めるためについばみ、結果として花が落ちてしまうためである。 すべての木が同じように荒らされるのではないので、きっと 花が落ちている木は蜜が甘いのだろう。 |
ほとんどは萼筒の途中で食いちぎられているが、時には右のように子房ごと。蜜ではお腹は膨れないだろうが、カロリー補給になる。 |
いよいよ葉桜 2007.4.10. |
花弁が落ちても 赤い萼は残り、木全体が赤く見える。 |
よく結実する 2008.5.25. |
ソメイヨシノは自分自身の花粉では結実しないが、他の種、例えばオオシマザクラやヤマザクラの花粉で結実するものと思われる。サクラ林には 約30本のソメイヨシノがあるが、全ての木で結実していた。ただ、サクラの花は雄しべだけの花も多いそうで、花の数に較べたらできる実はほんの数パーセントである。 |
途中で落ちる実 2012.5.5. |
さらには 成熟せずに落ちてしまう実も多い。むしろその数の方が多いかもしれない。 |
2008.6.8 ソメイサクランボの中身は 紫色 | |
熟すと外見は黒くなる。中は赤紫で、白い紙にこすりつけると すぐに濁った紫色に変化する。 |
果汁を水に溶かすときれいな赤紫になるが、味は渋くて食べられたものではない。 |
B:紅 葉 2010.11.16. |
いつもこれほどきれいに紅葉するわけではないが、2010・11年とも良かった。 |
2011.12.10. |
2010.11.21 色は 赤から黄色まで 2011.11.15 | |
ソメイヨシノ の 位置 |
● | 全てを網羅しているわけではなく、ほかにも多数ある |
名前の由来 ソメイヨシノ Prunus yedoensis | |||||
ソメイヨシノ : |
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種小名 yedoensis : 江戸の |
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学名 Prumus yedoensis について | |||
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Prunus サクラ属 : スモモ から | |
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英語名 : Potomac cherry | ||||||
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ワシントン の 痛んだサクラ 2000.7.22. | |
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植えられていた苗木 2000.7.22. |
2枚とも ジェファーソン記念館付近で。 苗木の高さ 3m。 |
変わって次の写真、サクラは写っているが 全く関係ない話題・・・・ |
アメリカ人の「自己責任」という考え方を つくづくと痛感させられる風景。 いこいの遊歩道である。子供も通るし夜でも歩ける。なのに「柵」無し、「街灯」無し。水面の位置が低いため、もしランナーが躓いて落ちても、一人では上がれない。 これが 究極的には「拳銃の所持」につながる、アメリカである。 付近にあった看板といえば、「低い枝に注意」だけ。 |
ふたたび 寿命について | |
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山手線が くぐる橋 2012.4.8 |
大塚 - 巣鴨 間。 駒込付近に旧染井村があっただけに、豊島区の花はソメイヨシノである。 1980年(昭和55年)に 電車沿いの道にサクラが植えられたのだが、初めは木が小さいために、どうしても植え込む間隔が狭くなる。成長するに従って、隣同士や線路側に出る枝が切られ、そこから腐っていった。 |
幹が腐ってくる | |
そしてついに、2012年 一本が根元から伐採された。 |
植栽から 32年、樹齢でも40年程度だろう。巨大な切り株に見えるのは、小さな穴しか掘らなかったために根が地下にはいれず、地表付近で横に広がったためである。 2014年になって、並木の半分は整備し直された。といっても、状態の悪い木は伐採されて、約半分の本数となってしまった。残す木については、根が張れるように 硬い土が土壌改良されている。 |
小石川植物園の樹木 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ |