(仮称) ヤナギバシクンシ 柳葉使君子
Combretum caffrum Kuntze (1843)
← Dodonaea caffra Eckl. & Zeyh. (1834-5)
学名はアメリカ農務省 GRIN の見解による
園の名札:  Combretum salicifolium E. May. (1843)
科 名 : シクンシ科 Combretaceae
属 名 : シクンシ属 Combretum Loefl. (1758)
英 名 : Cape bush-willow
原産地: 南アフリカ、東ケープ州
用 途 : 医薬品のコンブレタステインという物質を抽出できる可能性がある
備 考:

アジアの植物を中心にコレクションしている小石川植物園では 珍しく、アフリカ原産のシクンシ科。 柴田記念館の前にある落葉樹である。

                @ : 芽吹きは遅め           2012.4.24
例えばイチョウなどはすっかり新緑となって、すでに実ができはじめている頃、いまだに芽が出てこない。
                                        2012.5.10
ようやく 花芽も伸びてきた。
                                         2012.6.7
花の最盛期に見に行くのを忘れてしまい、そろそろ終わる時期となってしまった上に、低い所には花がなかった。

                    幹の様子             2012.5.10
古くなった幹が 大昔に倒れ、横から出た枝がここまで大きくなったものだ。
アクロバティックな幹の構成。 この一ヶ月後では、太い幹からたくさんの枝(ひこばえ)が出ていた。 (次の写真 2012.6.7)

                    しなやかな葉             2012.6.7
枝にも葉にも軟らかい毛が生えている。 葉の形や柔らかさも柳に似ている。

                  新しく出た 枝と 葉           2012.6.7

                    遠い花              2012.6.7
シクンシとは違って、花序は葉腋に付く。 詳細はわからない。

                               実                     2008.1.19 採取
果実は意外と大きく、長さ 2センチ。 扁平で稜の無いものは薄く、3〜4つの稜があるものは 厚みが 7ミリ程度になる。 周囲は波打っている。


(仮称) ヤナギバシクンシ の 位 置
写真@: C13 c 柴田記念館前


名前の由来  ヤナギバシクンシ Combretum caffrum

ヤナギバシクンシ (仮称) :
葉がヤナギに似ている シクンシ属。 シクンシには似ていない。

木に掛かっている名札には和名が無く、学名「Combretum salicifolium」だけが書かれている。 学名の参考の第一としている アメリカ農務省のリスト、GRIN(Germplasm Resources Infor. Network)では この名は「異名」となっていたが、ヤナギバシクンシを思いついた時には、この salicifolium の意味を意識していなかった。 本当ですよ。
salicifolium は、そのものずばり「ヤナギに似た葉の」。
形や柔らかさだけでなく、特に新しく出た葉の 細かな毛の感触が ヤナギのイメージである。 「ヤナギ」は総称であるが、一般的にヤナギの葉には毛が付いている。
 
← シクンシ : 使君子
『広辞苑』や『園芸植物大事典』、『eFlors.org』には、中国名として
使君子」があがっているが、その意味 ・由来は はっきりしない。

いくつか案を考えてみたが、シクンシ の項を参照の事。
 
種小名 caffrum : 「アフリカの、アフリカ産の」という意味。
古くに 現在の南アフリカ共和国 東ケープ地方、あるいはその一部の場所を Kafferaria と呼んだようだが、今は使われていない。
アフリカ共和国 東ケープ州
Wikipedia より

Combretum シクンシ属 : 
由来は 不明。
綴りからすると conbine と関係がありそうだ。 色を組み合わせる といったところだろうか? しかし、シクンシ属の花が すべて色変わりするわけではないだろう。



植物の分類 APG II 分類による ヤナギバシクンシ の位置
原始的な植物
 緑藻 : アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など
 シダ植物 :  維管束があり 胞子で増える植物
小葉植物 : ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など
大葉植物(シダ類) : マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、ヘゴ、オシダなど
 種子植物 :  維管束があり 種子で増える植物
 裸子植物 :  種子が露出している
ソテツ 類 : ソテツ、ザミア、など
イチョウ類 : イチョウ
マツ 類 : マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など
 被子植物 :  種子が真皮に蔽われている
被子植物基底群 : アンボレラ、スイレン、など
モクレン亜綱 : コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など
 単子葉 類 : ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、イネ、ツユクサ、ショウガ、など
真生双子葉類 : キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など
中核真生双子葉類: ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など
バラ目 群 :
バラ亜綱 : ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など
 フトモモ目  フトモモ科、ノボタン科、アカバナ科、ザクロ科、シクンシ科、など
シクンシ科  モモタマナ属、コンブレトゥム属、シクンシ属、ヒルギモドキ属など
マメ 群 : ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など
アオイ群 : アブラナ、アオイ、ムクロジ、など
キク目 群 :
キク亜綱 : ミズキ、ツツジ、など
シソ 群 : ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など
キキョウ群 : モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など
後から分化した植物 (進化した植物 )           

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