アキー
Blighia sapida Con. ( 1806 )
科 名 : ムクロジ科 Sapindaceae
属 名 : ブリグヒア属 Blighia Con. ( 1806 )
英語名 : ackee , akee
現地名 : akee アキー
原産地 : 西アフリカ
用 途 : 実の中の甘い「仮種皮」を食用とする。
ジャマイカでは塩タラと合わせた料理が有名だとか...。
また缶詰にされて輸出もされているそうだ。
撮影地 : ガイアナ協同共和国 、 ジャマイカ
ドミニカ共和国

仕事でガイアナを訪れたのは2回とも10〜11月で、ピンクの実が生っている時期であった。 「アキー」という名は教えてもらったものの、学名は不明のまま。

その後出かけたドミニカは1月であったが同じような状態で、実を半分に割った写真を撮った。

2007年になって、ハワイ大学カー教授のホームページを見ていて学名がわかり、事典を調べてみると『果皮や未熟な実は有毒』とあった。かじってみなくてよかった....。
 
ガイアナのアキー ドミニカの幹
左側:プロムナード・ガーデンにあった木は小さく、高さ 3.5 m。
右側:ドミニカの木は5m以上あって、こんもりと繁っていた。
Wikipedia には 10〜20mになるとあった。
 
花と葉の詳細

花は一度も見たことがないので、ハワイ大学 カー教授のホームページから拝借した。
 
ムクロジ科の植物はこのように花をたくさん付ける。
 
葉は8〜10枚の大きな小葉を持つ複葉である。

 
実の様子 実を半分に割る

 

実がなるのは、トップの写真のように、ひとつの花序にひとつか 左の写真のように2つのことが多い。サイズは長さ約7cm。
まだ若い実の内部は、下の熟した状態とずいぶん違う。
本場? ジャマイカで、ようやく熟れた実の写真

2008年4月
 
熟した実の詳細
   [ Copyright ] Dr. Gerald Carr (Univ. of Hawaii )
   下左の写真も。
黒い種子と白い仮種皮 ライチの仮種皮
食用にするのは白い部分の「仮種皮」である。
 
仮種皮は種子の一部が肥大したもので、おなじみは中華料理のデザートに出る「ライチ(レイシ)」。ライチでは仮種皮が種子全体を覆っている。
 
名前の由来 ブリグヒア・サピダ Blighia sapida

仮の和名 ジャマイカムクロジ または ジャマイカフルーツ
ジャマイカで名物料理といわれるまで愛用されているのなら、ということで....。
しかし原産地はアフリカのようであり、また前者はムクロジ科の一種という理由にすぎないので、ともに最適の名前とはいえない。

現地あるいは英語名の ackee アキー の意味は不明である。
 
種小名 sapida : おいしい という意味
牧野の『植物学名辞典』では、「味アル、美味ナル」となっている。

学名が付けられた19世紀以前から食べられていた ということを示している。可食部分がわかるまでは、何人かの人がこの植物の「毒」で死んだのであろうか。
 
アキー料理を食べる


出張の合間の休日に出かけたジャマイカ。 首都キングストンの「ホープ植物園」食堂で、運良くアキーの料理を食べることができた。

一皿に盛られた「コンビネーション・ランチ」で、手前の黄色いものが、鶏肉とともに調理されたアキーであった。
ただし、味付けされた卵の白身のような感じで、種小名のように「おいしい」とまではいかなかった。

それよりも驚いたのは、一番上に写っている茶色の四角いもの。 ガンモドキにそっくりの、豆腐の加工品を焼いたものである。
そのほかの、ひよこ豆・外米・野菜炒め・サラダ すべておいしかった。
 
Blighia ブリグヒア属 : ?
事典にもこの属名の記述は少ない。由来も意味も不明。
 
ムクロジ科 Sapindaceae : インドの石鹸 という意味
代表する属が Sapindus属 で、ラテン語のsapo (石鹸)+ Indicus , Indus (インドの) 。インドで古くからこの植物の果皮に含まれるサポニンを利用して、石鹸として使われていたためである。
黄葉がきれいな ムクロジ
詳しくは、「ムクロジ」を参照。
 

 
深大寺植物園
11月初め
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
        Merriam-Webster's Online Dictionary
        Wikipedia English
        ハワイ大学 Dr. Gerald Carr のホームページ、
               (転載許可取得済み)
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