バリントニア・アクタングラ
Barringtonia acutangula Gaertn ( 1790 )
← Eugenia acutangula Linn. ( 1753 )
仮 名 : トガリミ サガリバナ 尖り実 下がり花
科 名 : サガリバナ科 Lecythidaceae
属 名 : サガリバナ属 Barringtonia
J. R. Forster & G. Forster (1775)
原産地 : アフガニスタン、バングラデシュ、インド、パキスタン、スリ・ランカ、 インドシナ、インドネシア、 オーストラリア
用 途 : 各地方で 薬用に用いられたようだ
撮影地 : パキスタン

パキスタン ラホール市では、たまたま植物園の近くのホテルに泊まったのだが、そのバックヤードにあったもの。

高さはほんの 2mちょっとだった。

葉 と 花序
ホテル内で使う植物のストックか、鉢が置いてある。 時期が乾期だったために、葉にはほこりが積もって白くなっている。

花の様子
ピントが合っていないが、サガリバナ科特有の「総状花序」で雄しべが目立つ。

名前の由来  Barringtonia acutangula

和名 なし
仮名 : トガリミ サガリバナ
実の形が細長い サガリバナ。 種小名による。
 
種小名 acutangula : 鋭尖の、漸尖頭の という意味
初めは、サガリバナに較べて葉の先の形が尖っているところから、 だと思っていたが・・・・
 
サガリバナ Barringtonia racemosa (沖縄で)
右写真の葉は比較的「鈍形」であるが、これらの葉と較べても 本種と 顕著な違いがあるとは言えない。
そこで、もともとの学名が載っている リンネの『植物の種』(1753)にあたってみた。 リンネは花の形が似ていることから、本種をフトモモ科の Eugenia属に分類した。 幸いなことに、サガリバナも同じ場所に記載してあり、すぐに比較することができた。

その内容を見ると、この種小名は果実の形を形容したものだった。

和名 種小名 意味 果実についての記載
 本種  acutangula  鋭尖の  pomis oblongis acutangulis  長楕円形で鋭尖の
 サガリバナ  racemosa  総状花の  pomis ovatis  卵円形の

残念ながら 本種の写真では、果実は大きくなっておらず、検証はできていない。 次の写真は、被写体までの距離(スケール)が異なる。

本種の 若い実 サガリバナ の実 (夢の島熱帯植物館)

Barringtonia サガリバナ属 : 人名から
18世紀イギリスの博物学者、Daines バーリントン (1727-1800) を顕彰して名付けられている。 約40種があるという。
 
サガリバナ
長い花序が垂れ下がるところから名付けられたもの。
本来 サガリバナの花は夜の間に咲き、朝には花が落ちてしまう。 前掲の沖縄で見たものは、翌日の昼まで咲いているために撮影できた。
 
サガリバナ科 Lecythidaceae :
パラダイスナットノキ属 Lecythis属 を基準属とする。

その由来は「油壺 oil pot」 あるいは 「壺・甕」 という意味で、この属の果実が壺状の形をしていることにちなんでいる。

モンキーポット の項 参照。
 
参考文献 : Species Plantarum 復刻版/植物文献刊行会
        GRIN
        園芸植物大事典/小学館
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎
世界の植物 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ