ロゼール
Hibiscus sabdariffa Linn. (1753)
科 名 : アオイ科 Malvaceae
属 名 : フヨウ属 Hibiscus L., nom. cons.(1737)
原産地 : アフリカ
英 名 : Indian sorrel , roselle
現地名 : ビサップ
用 途 : 現地では主にシロップ、そのほかジャムやゼリーの原料として利用されている。

アメリカではこれを発酵させて、ロゼール酒が作られ、ジャワでは香味料としてカレーに入れる。 (『園芸植物大事典』)
撮影地 : SENEGAL

ダカール大学の隣にある、「保健衛生社会開発学校」の裏庭に生えていたもの。 アフリカ原産と考えられているが、現在では、熱帯地域で広く栽培されているそうだ。
 
樹 形 花(下)と萼が発達した状態

フヨウ属には樹木もあるがロゼールは一年草で、写真のものは高さ 50cmほどであった。

花を横から見ると、ガクの外側にさらに副萼(小苞片)があるのがわかる。


 
花が終わると、ガクが発達して多汁質になる。(右写真の上部)

セネガルでは「ビサップ」は酸味のきいた、代表的な飲み物の一つである。 赤い萼(ガク)を乾燥させたものを一晩水につけておき、少し砂糖を加えて作る。
日本でも通販で買えるが、最近 スターバックスが「」の名で 粉末ドリンクを発売した。 砂糖が多くてビサップの味からは ほど遠い。

 
白花の ビサップ

 


同じ場所に白花もあったが、こちらはジュースになるのかどうか?
ダカール ケルメル市場で売られていた「乾燥 ビサップ」

 
名前の由来 ロゼール Hibiscus sabdariffa

ロゼール
 :
現在では、インターネットの通信販売で この「ハイビスカス・ティー」が購入できるが、さすがに「和名」はない。

「ロゼール」は英語名の一つであるが、roselle の語源はローズに関係するのだろうが、詳細は不明。

もう一つの英語名 sorrel は「スイバ」や「カタバミ」など、酸味のある植物全般に使われる単語である。
 
種小名 sabdariffa :
意味は不明。
 
Hibiscus フヨウ属 、ハイビスカス属 :
Hibiscus は日本語では「ハイビスカス」であるが、ラテン語読みは「ヒビスクス」である。
由来は、エジプトの神 (Hibis) と ギリシア語の似る (isko) から「神に似た」という意味であるという。
 
フヨウ属 : 芙蓉属
アオイ科フヨウ属は、熱帯・亜熱帯・一部の温帯に約250種。
フヨウの由来は、漢名「木芙蓉」の音読みモクフヨウのモクが省略されたもの とあるが、芙蓉の意味までは載っていない。

漢和辞典を引くと、芙蓉は (ハス) の異名 であった。

そう言われれば、縦に脈がはいったピンクの花びらは蓮の花びらに似ている。「木芙蓉」すなわち「蓮のような花が咲く木」というのも納得できる名前である。
フヨウの花 ハスの花
ハスについては、別項をご覧いただきたい。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
        図説 花と樹の大事典/植物文化研究会 編
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