(仮名)シロバナトックリキワタ
白花徳利木綿
Ceiba insignis P. E. Gibbs & Semir (1988)
 ←Chorisia insignis Kunth (1822)
科 名 : パンヤ科 Bonbacaceae
APG分類: アオイ科 Malvaceae
属 名 : パンヤノキ属 Ceiba Mill. (1754)
英 名 :
原産地 : 南米 エクアドル、ペルー
用 途 : 観賞樹、庭園樹、キワタノキと同じように種子の繊維が利用される。
撮影地 : パキスタン 、日本 温室

パキスタンのラホール。 標高は217mもあるのだが、日本では鹿児島に相当する 北緯31度だからか、亜熱帯の樹木が育っている。

沖縄では露地でも育つだろうが、内地では温室栽培となる。

パキスタンとインド ラホールの位置



Wikipediaの画像を元に作成
ラホール市のあるパキスタン パンジャーブ州(左の地図の)は、元 インドのパンジャーブ州(同 )と同じ地域であったが、インド、パキスタン独立の際に分割された。

                      ジーナ植物園               2005.10.22
この木を見つけた時は、すでに日が傾いていた。 大きな木ではないがこんもりしており、ベンチが3脚あってお年寄りが何をするでもなく、休んでいた。

若い幹
背は高くないが幹は太い! 1m50ぐらいだろうか。 古い部分はトゲが落ちてしまっているが、若い幹では 5cmもある もの凄いトゲが一面に。

枝振り
シルエットにしてしまうと、花が咲いているのがわからない。

葉 と 花 の様子
葉は掌状の複葉。 花は大きく、直径15cmぐらいだった。


名前の由来  シロバナトックリキワタ Ceiba insignis

シロバナトックリキワタ :  仮名
ピンク色の「トックリキワタ」と同じ属で、花の形もよく似ているため。

トックリキワタ Ceiba speciosa シロバナトックリキワタ (仮称)

種小名 insignis : 著名な という意味
そう言われても困るのだが、トックリキワタの speciosa と同じく「きれいな」という意味で使っているのかも知れない。
 
Ceiba パンヤノキ属 :
ケイバ Ceiba は、カリブ海地域のインディアンによるカヌーの呼び名。
大木となるパンヤノキの幹を丸木舟の材料とした。材は柔らかく耐久性は劣るが、加工しやすい利点がある。

17種類がおもに熱帯アメリカ、1種がアフリカに分布している。
 

本種を Chorisia属とする考え方があったが、現在は Ceiba に統合されたようだ。
 

以下は、パンヤノキ の記述と重複する。
 
パンヤ科 Bombacaceae : bombycinus (絹の糸の意) から。
ワタのなる木ということから、キワタ科とも呼ばれる。分類学上も「ワタ」の属する「アオイ科」に近い。

熱帯に分布し、果実や種子を食用にしたり、果実の毛を綿のように利用したりと、有用種が多い。

28属200種ほどの小さなグループで、バオバブノキ属、キワタノキ属、トックリキワタ属、パンヤノキ属、ドリアン属、バルサ属、パキラ属などがある。
 

 キワタ ←ワタ ( 綿 ) : Gossypium hirsutum L . (1753)
現在世界で栽培されている綿には4種あるが、中でもアメリカをはじめとして一番多いのが、日本でも一般にワタと呼ばれている一年草の「リクチメン」である。

古くはメキシコで栽培されていたものが、世界中に広まったものという。
ワタの歴史は極めて古く、今から7,800年も前のエジプトの遺跡からワタの実が発見されている。

属名 Gossypiumは ワタのラテン名 gossypionに由来する説が有力であるが、アラビア語の goz (やわらかい物)に由来するという説、gossum (腫れ物)に由来するという説もあり、はっきりしないそうだ。

種小名 hirsutumは「粗毛のある、剛毛のある」の意味。
 

右上の写真は花と若い実。
下が割れた実で、まだ綿の
繊維は硬く締まっている。

いずれも 小石川植物園
         分類標本園



 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社
        MABBERLEY'S PLANT-BOOK
        GRIN アメリカ農務省のホームページ
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