ケルベラ・オドラン
Cerbera odollam Gaertn. (1791)
科 名 : キョウチクトウ科 Apocynaceae
属 名 : ミフクラギ属 Cerbera Linn. (1737)
原産地 : インドから太平洋諸島
用 途 : 観賞樹として栽培される。
乾燥した果実を室内装飾品とする。
樹液は有毒だが、薬用になる。

種子は強力な毒を含む。
マダガスカルでは19世紀に禁止されるまで、儀式の際に使われて多くの人が命を落としていたそうだ。
撮影地 : シンガポール

トップの写真は、落ちていた花を並べて撮ったもので、緑の葉はケルベラのものではない。
オレンジ色の長い落ち葉はケルベラのもの。
 

シンガポール植物園正門をはいって外の道路に沿った道を進むと、小さな池がある。

池の縁に植えられていたが、周りはゴバンノアシなど多くの木があり、全体像や花が咲いている様子は撮影できなかった。
 

花の様子
水に浮かぶ花。 ピンクの雄しべはゴバンノアシ。
 
高い所で咲いている花を見ると、中心部はもっと黄色い。
花弁はネジレが目立たないが、中央線の左側が幅広く 肩が張っている。
 
落ちた果実
果実のサイズは7cmだったが、大小があるようだ。

皮が腐って、外側の繊維だけになっている。 これに着色したりしてオーナメントにする。
木で熟すと赤くなるそうなので、見てみたいものだ。
 
名前の由来  Cerbera odollam

和名 : なし
月並みだが、仮名は 「インドキョウチクトウ」。
すでに使われているかもしれない・・・。
 
種小名 odollam : 現地名による
『植物學名辞典/牧野』には、それだけしか書かれておらず、どこの名前か、どんな意味かはわからない。

各地で 色々な現地名が付けられている。
 
Cerbera ケルベラ属 :
ギリシア語神話に登場する、犬 あるいは獅子の3つの頭を持つ冥界の番犬「ケルベロス Kerberos」、ラテン語では Cerberus に由来する。

ギリシア神話の冥府の神である ハーデース(ハデス)・写真の忠犬で、冥界から逃げ出そうとする者を食べてしまう。

ケルベラ属の植物が有毒である事に由来するといわれる。

「毒」→「死」→「冥界」という連想では、その番犬の名にはたどり着かないが、ケルベロスの唾液から猛毒を持つ「トリカブト」が生まれた、という言い伝えがあるといい、毒に由来するようだ。

花の軸(花軸)が3つに分岐するため、という説もあるが、キョウチクトウ科の植物は枝が3分岐するものが多く、本属特有の特徴ではない。
 
Wikipedia より
 
ミフクラギ属 :
和名のミフクラギ属は、琉球諸島にも野生する「ミフクラギ」 Cerbera manghas Linn. (1753) の名前を取ったものである。
 
ミフクラギ
沖縄 都市緑化植物園 板橋区熱帯環境植物館

幾つかの事典・図鑑を調べたが、ミフクラギの漢字表記が出ていない。

私の案は「実福ら木」。
熱帯から亜熱帯原産でオトギリソウ科の「フクギ」が、奄美や沖縄でよく植栽されているが、その丸い実よりも大きな実を付けるので、「実福木」がなまって「ミフクラギ」となった、というもの。
なお、manghas は「マンゴーのような」という意味である。
果実は無毒だが、種子は危険。

別名は オキナワキョウチクトウ。
 
キョウチクトウ科 Apocynaceae :
キョウチクトウついては 別項を参照のこと。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館
        植物の世界/朝日百科
        植物學名辞典/牧野富太郎
        Wikipedia
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