ソーセージの木
Kigelia pinnata DC. (1845)
← Crescentia pinnata Jacq. (1789)
科 名 : ノウゼンカズラ科 Bignoniaceae
属 名 : ソーセージノキ属 Kigelia DC. (1838)
英 名 : sausage tree
原産地 : アフリカ
用 途 : 果実と樹皮が擦り傷・切り傷の薬として使われる。
時に種子が食用にされる。
 
撮影地 :
ジャマイカ 、パキスタン
日本 沖縄、温室

ずっと以前に沖縄の南洋植物園で「ソーセージノキ」は目にしていた。
またパキスタン・ラホールのジーナ植物園にも、葉を茂らせた Kigelia があった。
 
そしてモザンビークでは、アフリカ・ソーセージノキ(仮名)を観察した。

今回、熱帯の地ジャマイカで育っていたソーセージノキ を掲載するが、アフリカ・ソーセージノキとの違いはよくわからなかった。
 
樹 形
本来 15m以上になる高木であるが、この木の高さは5m程度。
横幅の方が大きい。
 
4月初めの撮影で、実の数も 花の数も少なかった。
 
数少ない ラベルの一つ 幹の状態

 
葉の様子
葉は奇数の羽状複葉。
花 と 実
実のサイズは 長さ30×幅10cm 程度。
 
花のアップ 花の裏側から
落ちた花なので、木の方に残った雌しべは写っていない。
 
 
パキスタン のキゲリア Kigelia pinnata
 
ラホールでの撮影は 10月。
同じく乾期であったがソーセージは生っておらず、「紐」だけがたくさんぶら下がっていた。
もしかしたら、実が落ちてしまったあとだったのかもしれない。
パキスタン、ラホール植物園
右下の白い服を着た人と較べると、相当な高さがある。
ジャマイカの木とは大違いである。

パキスタンのラホール市の緯度は 約北緯 32度。
熱帯の植物が大きく育っているのにはビックリした。
もっと寒い場所と考えていたので、鹿児島と同じ と考えても、不思議な気がする。
 
 
日本 のキゲリア
 
さすがに 沖縄では露地植えである。
撮影は、沖縄の方が10月下旬、京都は11月下旬であった。
沖縄 南東植物園 京都植物園 (温室)

 


複葉の葉の形が少しわかる。
 
名前の由来 ソーセージノキ Kigelia pinnata
 
ソーセージノキ 
ソーセージの木 : 実がソーセージに似ているため
木に何本もぶら下がっている様は、まさに ソーセージである。
種小名 pinnata : 羽状の という意味
「羽状の」という極めてありふれた形容詞で、今となっては まったくおもしろみのない命名である。
 
初めに命名したのは18世紀生まれのオランダの植物学者 N. J. von Jacquin (1727-1817) でる。
ジャカンはリンネよりも20歳年下で、『リンネの方法による植物知識への手引き』という、ガイドブックを著している。
 
ジャカンが 「pinnata 羽状の」とした訳は、本種を Crescentia 属としたためである。
クレセンティア属の植物は、掌状複葉 あるいは 単葉であるため、このソーセージノキは「羽状複葉であることが特徴」だと考えて、命名したわけである。

なお、「クレセンティア」は人名にちなんだ属名である。
Kigelia ソーセージノキ属 : 
『園芸植物大事典』によると、熱帯東アフリカ(モザンビーク)での呼び名に由来するとのこと。
『植物学名辞典』は アフリカ土名 で、いずれも Kigelia の意味については触れていない。
 
アフリカに 3種があるだけの、小さな属である。
 
同じノウゼンカズラ科に、細長い実が生る「ローソクノキ属」Parmentiera属 がある。
ノウゼンカズラ科 Bignoniaceae :
約120属 約800種があるという ノウゼンカズラ科。おもに熱帯・亜熱帯に分布している。
 
詳しくは「キバナノウゼンカズラ」の項に書いた ノウゼンカズラ科の記述を参照していただきたい。
 
 トピックス
 
ソーセージノキの効用
アフリカ・ソーセージノキ の項と 重複
内部が赤い 壺型の花、 太くて長いソーセージの実。
 
ここから 男性の性機能に関する多くの迷信ができたという。
 
以下は、植物のことを色々と知っていたモザンビークのドライバー Miguel Durao氏 に聞いた Kigelia africana についての話。
 
・モザンビークでの別名は「男の木」。
・男性が果実の汁を飲むと、この実のように「改善される」?
・普通の女性はこの木を嫌う。 しかし、
・ある特定の、ほんの一部の女性は、この木が好き。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
        文明のなかの博物学/西村三郎
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