キンキジュ 金亀樹
Pithecellobium dulce Benth. ( 1844 )
← Inga dulcis Willd. ( 1805 )
← Mimosa dulcis Roxb. (1795)
科 名 : ネムノキ科 Mimosaceae
属 名 : キンキジュ属
Pithecellobium Mart. (1829)
現地名 : Gina ヒーナ
英語名 : Manila tamarind , Madras thorn
原産地 : メキシコ から 南アメリカ北部
ドミニカ共和国もその中に含まれる 
用 途 :
 
街路樹、陰影樹、生け垣として植栽される。材は一般材木、樹皮から黄色染料やタンニンが取れる。
実を家畜の餌に、果実内の白いパルプ状の部分や種子が食用となり、ジュースも作られるようだ。
タイでは、シーズンになると白い部分が市場にも出回るという。
撮影地 :
ドミニカ共和国
 
3月中旬に、滞在していたホテルの庭で、丁度 花と実の両方を撮ることができた。
 
撮影時には知識がなく、蟻もたかっていなかったし 鳥が食べているわけでもなかったので、果実の白い部分が食べられるとは思わなかった。
 
これは ドミニカ植物園の木

 
托葉が変化したトゲ 幹の様子

 

 

 
刺は、幹が太くなるにつれて目立たなくなるが、葉痕は長く残る。
葉の様子 花の様子
葉は2回複葉だが、2枚の小葉からなる複葉が1対のみ。2回羽状複葉の「最小構成」で、4枚の小葉にも見える。
1枚の小葉の長さは 4cmほど。
 
花は少し黄みがかり、しょぼしょぼして見栄えはしない。
 
実の様子
 
黒い種子は扁平だが、白い果肉が膨らんで丸々とくびれた状態になり、やがて自然に割れてくる。 赤いのは 充血した目のようだ。
 
名前の由来 キンキジュ Pithecellobium dulce
 
和名 キンキジュ : 
中国名「金龜樹」の音読みで、和名とは言えない。
 
「金の亀」の由来は不明。
考えても、解が見つからない・・・。
種小名 dulce : 甘い という意味
白い内果皮の部分が甘く、食べられるため。
ラテン語では、dulce は形容詞で「甘く」、dulcis も形容詞で「1. うまい、2. 愛すべき・魅力的な、3. 愛好される」となっている。
 
最終的にキンキジュ属に分類される前は、語尾変化の関係で dulcis の種小名が使われている。
 
 
英語では dolce で、「甘いデザート」 「甘口(のイタリアワイン)」となる。
Pithecellobium 属 : 意味は不確定
『植物學名辞典/牧野』には、Pithcolobium は載っているが Pithecellobium はない。
Pithcolobium の由来は「pithekos サル」+「lobos 耳朶」となっている。「lobium」は共通であるから、「pithece」 も同じ「サル」が語源だろう。
 
「Monkey's Ear-Ring」という英語名もあるようなので、螺旋状になる果実から、「猿のイアリング」の意味かも知れない。
 
キンキジュ属は中南米に 約20種があるそうだ。
ネムノキ科 Mimosaceae : 
エングラーの分類では「マメ科」であるが、花弁・雄しべ・雌しべの状態がまったく異なるため、クロンキストの分類ではマメ科以外に、ネムノキ科、ジャケツイバラ科の3つに分けられている。
 
果実が「サヤ状の豆」であることは共通するが、花は いわゆる「蝶形花」ではないこともあって、ネムノキ科やジャケツイバラ科の植物に「×○△マメ」と名付けられている例は少ない。
 
約 66属 約 3,000種があるそうだ。
 
ネムノキについては、別項を参照されたい。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        植物の世界/朝日新聞社、
        植物學名辞典/牧野富太郎、清水藤太郎、
        Wikidedia English版、
        Tropical Ornamentals/W. Arthur Whistler、
        台湾賞樹情報/張 碧員、呂 勝由、陳 一銘
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