オオマメノキ 大豆の木
Callerya atropurprea Schot (1994)
← Millettia atropurprea Benth. (1852)
← Pongamia atropurprea Wall. (1832)
科 名 : マメ科 Fabaceae
属 名 : カレルヤ属 Callerya Endl. (1843)
英語名 : Purple Millettia
原産地 : 南東アジア
用 途 :
撮影地 : シンガポール

暖かい地方には、ジャケツイバラ科やネムノキ科の植物が多く、「マメ科」の植物を取り上げるのは初めてである。


シンガポール植物園のオオマメノキは、スワンレイクの西側にある「遺産木」と、バンドスタンドの近くに位置する2本がある。

25〜30mになるというが、遺産木のほうは池が近くにある関係で「引き」が取れず、全体像が撮れなかった。
ヘリテイジ・ツリー
    
鬱そうとしているうえに つる植物が絡みついて、遺産木の威厳が増している。

一方、バンドスタンドの方は道路のすぐ脇で、周りも割と開けており、風通しがよい。こちらに花が咲いていた。
幹の様子 高さ 20m


右の写真で、上部手前に写っている黄色い色は別の木で、バンドスタンドの周囲に植えられた、アメリカネムの突然変異種 "Yellow"の葉。

梢に咲く花         2009.1.20.
共に大きな木で下枝がないため、葉や花のアップ写真は撮れなかったので、落ちていた花を小葉の上に載せてみた。

オオマメの花
花のサイズは小さく、約2cm。

左の写真で、分解した花は落下してから少し時間が経っているようで、紫の色が黒みがかっている。
左右対称の花びらは、2枚ずつがほぼ重なっていて1枚に見えるが、全部で5枚である。

萼はエンドウなどのように「切れ込み」はなく、鐘の型のデイコのようにお椀型になっている。

エンドウ デイコ
落ちていたケシ粒大のタネが成長して、ゴルフボールのような大きさになる。

小葉 と 実 の様子

 
葉の長さは約 40cmと大きく、小葉の長さで 7〜12cmである。

大きい方の果実のサイズは 14cm。長さ 約5cmの種子が1つ ないし2つ、はいっている。
種子にはまだら模様がある。毒があって食べられないそうだ。

名前の由来 オオマメ Callerya atropurprea

オオマメノキ 大豆の木 : マメ科の大きな種子を指す

種小名 atropurprea :「暗紫色」という意味
花の色を表しているのだが、咲いている時は鮮やかな赤紫である。
まさか、落ちた後の花を見て名付けたわけではあるまい。

Callerya カレルヤ属 : 不明
人名に由来するような気がするが、不明である。
 
本種は「ナツフジ属 Millettia属」に分類されていたが、ほかの18種とともに、1994年にカレルヤ属に分類し直された。
円錐花序の形や 雄しべの形態の違いによるようだ。

マメ科 :
「マメ」という名の植物はないため、マメの由来については事典に載っていない。

「丸い実 マルミ」が マメに転訛した、という説が有力。

マメ科の植物の特徴は、「蝶型の花」、「サヤ状の実」、通常「10本の雄しべ」である。
APGの分類では、豆果ができる「ネムノキ科」と「ジャケツイバラ科」もマメ科に含まれる。


「豆」の字を漢和辞典で調べてみたら、元の意味はマメではなく、「肉を盛る食器の形」で「高坏 タカツキ」を表した象形文字であった。
トウの音も、もともとは「高い脚」で立っていることから、「リュウ、チュウ」だったのが、「トウ」に変化したもの。

そして、「マメ」の意味で使うようになったのは、「アズキ」を意味する「荅 トウ」と 発音が同じであったために借用した、(誤用?)ということである。
『漢和中辞典/角川書店』
本来とはまるで違う意味の字を「マメ」として使っているわけで、豆の字の 四角い部分は「実」を表したものではなく、「器の形」だったわけである。

参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
        漢和中辞典/角川書店
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