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番外. 日比谷神社

土木事業のために、3度もの遷座を余儀なくされた神社。その名が示すとおり、初めは日比谷の地にあった。

現在の地は、新しく通された環状2号線、シオサイト架道橋の横である。



日比谷の由来
海の中の「篊 (ひび)」に由来する。篊 とはもともと、枝付きの竹や柴などを立てて魚を誘い込む仕掛けで、転じて、海苔や牡蠣の養殖のために、胞子や稚貝を付着させる竹などの名称となった。さらに 現在行われている、のりなどの養殖網もヒビと呼ぶようになった。
江戸時代以前は、今の日比谷公園一帯は入り江で、ヒビを使った漁業や養殖が行われていたために、篊谷、日々谷、日比谷 と呼ばれるようになっていた。


日比谷神社の歴史
火事で社記が焼けてしまったために、正確な創建年代はわかっていないという。

記 事 備 考
1457(長禄元)年   太田道灌 江戸城を開く  室町時代
1590(天正18)年 徳川家康 江戸にはいる  戦国時代
1603(慶長8)年 江戸幕府樹立
天下普請による江戸城の拡張に着手
日比谷入江の埋め立てが始まる
 江戸時代

地図A 参考:『慶長江戸絵図』(部分) 1602年頃
入り江が埋め立てられる前なので、1602(慶長7)年頃の図と推定されている。
記 事 出 典
1606(慶長11)年 江戸城の整備、大名屋敷の造営のために移転を命じられ、「芝口」へと1回目の遷移を行う。 『神社 御由緒』
氏子とともに芝口に移動となりますが、町名は従来の日比谷のままでした。
その『御由緒』には「古くから旧麹町区日比谷公園の大塚山という所に鎮座し、~」とあるが、日比谷公園は前図のほぼ入り江の場所だったため、矛盾がある。埋め立て前、1603年以前に鎮座していたのなら、小田原御門側の「陸地」だったはずである。
1630(寛永)7年 新橋に新しく芝口御門を造営することになり、日比谷町を芝口町と改称することになりましたが、神社の社号は変えずに現在に到ります。 『神社 御由緒』
地図B 移転先:『江戸切絵図 芝愛宕下』1849-1862年

1849-1862(嘉永2-文久2)年 出版 / 国会図書館デジタルアーカイブ より
日陰町通りに面していた。1868年が明治元年なので、本図は江戸最終期の出版。
『江戸名所絵図』の日比谷神社

1834-1836(天保5-7)年 / 国会図書館
江戸後期の絵図で、本文に「万治の頃 藍屋五兵衛といへる者託宣によって、花洛藤森の稲荷を勧請せしといへり」とあるが、万治年間はすでに1回目の遷移を終えたあと、1658-1661年なのでこれは誤りである。
注) 花洛:花の都、特に京都のこと、 藤森の稲荷:伏見稲荷の古称
道の手前が水路となっている。前掲の切り絵図には無いが、1907(明治40)年調査の『東京市芝區全圖』には、まだこの水路が残っている。
地図C:日陰町通りには水路 1907(明治40)年

『明治40年1月調査 東京市芝區全圖』東京郵便局
Cの 部分拡大図
明治末のこの時までは、「会仙川」は町場の雨水排水路として機能していた。

事 項 出 典
1909(明治42)年 品川-烏森間 開業 (4線分 建設)
1914(大正3)年 東京駅開業 4線開通
地図D:ぎりぎり残った神社 1921(大正10)年

1万分の1地形圖 新橋 / 明治42年測図 大正10年第二回修正測圖
前図とはスケール・範囲が異なる。細い路地ができていて、少し移動した可能性があるが、ほぼ元の位置に残っていた。

事 項 出 典
1923(大正12)年 関東大震災
1928(昭和3)年 大々的な区画整理が決定される
1930(昭和5)年 この頃 ここの第一京浜国道の拡幅が完了する
都市計画区割整理の対象となり、愛宕下町2丁目に換地され、現在の新橋4丁目に日比谷神社の御社殿が造営されました。 『神社 御由緒』
地図E:移転先 1930(昭和5)年

1万分の1地形圖 新橋 / 明治42年測図 大正10年第二回修正測圖
元の神社の位置は、東海道本線の計画用地に掛かってしまった。移転先周辺の区画も整理されている。
このホームページを始めるまで、日比谷神社のことを知らなかったため、この移転先の時代の写真は撮っていない。

事 項 出 典
2009(平成21)年 都市計画道路(環状2号線)の建設により、御社殿が、東新橋2丁目に建造されました。 『神社 御由緒』
写真F 移転先:現在地は シオサイト・汐留橋架道橋の横

2017(平成29)年5月29日 CKT20176/C20/28 に加筆 国土地理院
地図Eと ほぼ同じ縮尺。両旧神社の位置は 正確ではない。
電車からは神社本殿の後姿が間近に見える。新橋駅ホームからも見ることができる。
新橋駅第1ホーム南端から


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