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科 名 : | クスノキ科 Lauraceae | ||
| 属 名 : | タブノキ属 Machilus Nees (1831) | |||
| 別 名 : | タブ、イヌグス、アオグス、アオタブ など | |||
| 生活と結びついていたので地方名が非常に多い | ||||
| 中国名 : | 紅楠 hong nan | |||
| 原産地 : | 本州 秋田以南から 沖縄 朝鮮半島南部、台湾、中国 |
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| 用 途 : | 照葉樹林の代表種で、緑化樹として植栽される。材は硬く、かつては建築の土台・鉄道の枕木に使われた。現在でも 家具・美術品の彫刻・楽器などに使われる。 樹皮はタンニンを含むため、黄八丈の染料として、また以前は漁網の染色に使われた。 |
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| 現在は植木屋の供給ラインに乗っていないためか、庭園樹・公園樹としては クスノキに負けて、使われることは少ない。大木になると樹皮が無骨になるためだろう。タブノキは自然の中が似合っている。 植物園にも何本かの大木があるが、本来は横に広がる樹形でそれほど高くはならない。事典でも 10〜15m、時に20m となっている。 中でも ハンカチノキの奥にある小山 (園内の最高地点)には太い木がある。園外で撮影した写真も交えて、変わった枝の出し方をする様子を紹介したい。 |
| @: 樹 形 2012.11.21. |
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| 中央奥の横に張った緑の葉。高さ おおよそ 17m。 |
| @:斜めに生えている | |
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幹の様子![]() |
| 山の麓から。 |
| A: 株立ちのタブノキ |
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| @よりもハンカチノキの近くにあるもの。大木が根元から折れた後に、脇から出たひこばえが育った形だ。もしかしたら、元の木は江戸時代のものかも? |
| B:常緑樹林のタブ 2012.2.23. |
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| 圧倒的な枝張りで、空が見えない。 10番通りをどこまでも進んだ奥、標識16番の手前右側。 |
| C:下の段のタブ 2012.11.21. |
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| 70番通りの左側、園の下の道沿いに2本あるうちの一本。高さ 約14m。 |
| D:トイレ付近のタブノキ 2011.5.18. |
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| ↑タブノキ 高さ 約13m トイレ↑ |
| この後、道路拡張工事の準備でせっかくの下枝などが切られてしまった。 (次の写真の▲ 2012.11.21) |
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| 若い木の幹 | 大木の幹:D |
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| 若い木の方は 高崎市染料植物園で。ぽつぽつとした皮目がある。 太くなってくると比較的なめらかになるが、さらに太くなると荒れてくる。 |
| 枝と葉の成長 |
| 冬芽の様子 2012.1.7. |
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| 芽は 大量の鱗片で守られている。これは大きく丸いので 花芽かも知れない。芽の長さ 約2センチ。 |
| ほころびた葉芽 2011.6.4. | |
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| 筑波植物園なので 東京よりも一ヶ月弱 遅い。黄色いのが「芽鱗」、赤みがかったものは 「前出葉・低出葉」で、正規の葉とはならずに落下する。葉の縁(ふち)には長い産毛が生えているが、これも じきに落下する。 |
| 展開しだした葉芽 2011.6.4. | |
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| 項目が白抜きのものは、筑波植物園 撮影 |
| 新葉は少し赤みがかっている。もっと赤くなるものもある。 |
| 同時枝 2012.6.2. |
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| タブノキの特異な成長方法。普通の樹木は まず主となる枝を伸ばし、遅れて側枝(そくし、いわゆる枝) を出す。ところがタブノキは、冬芽の中に何本もの側枝まで用意しておき、一度に成長する。 同時枝は、タブノキのほかに クロモジ・カナクギノキ・ビワなどに見られる。また、根元から生えるひこばえは同時性をもつことが多いそうだ。 |
| 赤い前出葉が美しい 2012.5.8. |
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| 秋の葉の様子 2011.10.25. |
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| 中央には 小さな冬芽ができている。 |
| 芽鱗の痕跡 2012.1.7. |
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| 芽鱗の枚数が多いため、落ち跡もはっきりしている。これが幾つあるかを確認すれば、何年経った枝かが すぐにわかる。 |
| 花 と 実 |
| 残念ながら枝で咲いている画像がない。Wikipediaに花芽が出だした写真が掲載されていた。 |
| 花 芽 撮影時期、場所は不明. |
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| つぼみ 2012.5.5. |
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| 2日前の風雨で落ちた花序。開花し始めていた。 |
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| さらにアップすると、 |
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| 萼とも花弁ともつかない、つまり 萼と花弁に分化していない 「花被片」が6枚(3×2)。1本の雌しべを中心に 雄しべは3本ずつが三重になって、計9本。3数性である。 雄しべや雌しべの数はモクレンよりはずっと少ないが、軸の周りに部材が何重にも並ぶ構成は、原始的な植物に見られる特徴だ。 |
| 無数の実 2012.6.2. |
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| 花序は枝先には無いので、先端からは新緑が伸びる。筑波植物園。 |
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| 花被片6枚が残ったまま、緑の果実が大きくなっていく。 |
| 大きくなった実 2012.7.7. |
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| 一ヶ月でかなり大きくなり、花被片が隠れて目立たなくなっている。この後 熟して青黒くなる。 |
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| 木によって あるいは部位によって、上向きに付く実と 垂れ下がる場合がある。左:根津神社、右:浜松町付近。果柄を赤くすることで、鳥に実の存在を知らせているのだろう。 |
| 落ちた実を乗せて 2012.7.4. |
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| 種 子 |
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| 果肉を取り去った状態が 白い球状のもので、『樹の咲く花』によると これが種子。乾燥すると内部の種子が外れて、カラカラ音がする。茶と黒のふたつがそれで、周囲に一筋の線がある。 外側が核(内果皮)で 内部が種子、の方が形態的に納得できるが・・・。 |
| タブノキ の 位 置 |
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| 写真@: | D7 a | ● | 30番通り 標識34をまっすぐに進んだ小山の上 |
| 写真A: | D8 a | ● | 30番通り 標識34の少し先 |
| 写真B: | B5 c | ● | 10番通り 標識16の手前 右側 |
| 写真C: | F6 c | ● | 70番通り 島池付近の左手、塀の近く |
| 写真D: | F6 a | ● | 70番通り 奥のトイレの手前左手、塀の近く |
| F12 a | ● | 名札なし タブノキかどうか未確認 |
| 名前の由来 タブノキ Machilus thunbergii |
| 和名 タブノキ : | |||||||||
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| 椨の木 | |||||||||
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| 別名 イヌグス : クスノキの仲間だが クスよりも劣っている | |||||||||
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| 種小名 thunbergii : 人名による | |||||||||
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| Machilus タブノキ属 : | |||||||||
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| タブノキの実 | アボカド |
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| クスノキ科 Lauraceae : | |
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| 中国名 紅楠 : | |
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| タブノキの赤い果柄 | クスノキの実 |
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| 筑波実験植物園での観察会 2011.6.4. |
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| 地面すれすれまで枝がある 若いタブノキ。たくさん写真を撮った。 |
| 植物の分類 : | APG II 分類による タブノキ の位置 |
| 原始的な植物 |
| ↑ | 緑藻 : | アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など | |||||
| シダ植物 : | 維管束があり 胞子で増える植物 | ||||||
| 小葉植物 : | ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など | ||||||
| 大葉植物(シダ類): | マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、オシダなど | ||||||
| 種子植物 : | 維管束があり 種子で増える植物 | ||||||
| 裸子植物 : | 種子が露出している | ||||||
| ソテツ 類 : | ソテツ、ザミア、など | ||||||
| イチョウ類 : | イチョウ | ||||||
| マツ 類 : | マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など | ||||||
| 被子植物 : | 種子が真皮に蔽われている | ||||||
| 被子植物基底群 : | アンボレラ、スイレン、など | ||||||
| モクレン亜綱 : | コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など | ||||||
| クスノキ目 | ロウバイ科、モミニア科、クスノキ科、ハスノハギリ科 など | ||||||
| クスノキ科 | ニッケイ属、ゲッケイジュ属、ハマビワ属、タブノキ属 など | ||||||
| 単子葉 類 : | ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、ツユクサ、ショウガ、など | ||||||
| 真生双子葉類 : | キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など | ||||||
| 中核真生双子葉類: | ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など | ||||||
| バラ目 群 : | |||||||
| バラ亜綱: | ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など | ||||||
| マメ 群: | ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など | ||||||
| アオイ群: | アブラナ、アオイ、ムクロジ、など | ||||||
| キク目 群 : | |||||||
| キク亜綱: | ミズキ、ツツジ、など | ||||||
| シソ 群 : | ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など | ||||||
| ↓ | キキョウ群: | モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など | |||||
| 後から分化した植物 (進化した植物 ) |
| 小石川植物園の樹木 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ |