コレクション

科 名 : ツツジ科 Ericaceae
属 名 : ツツジ属 Rhododendron Linn. ( 1753 )
植物園には各所にツツジが植えられているが、サクラ林が終わる場所、3本大楠の手前に「ツツジ園」がある。 

ツツジ園 の 位 置
D 9 ~ D10 20番通り と 30番通りの間



ツツジの原種 および 園芸品種 その1

ツツジ コレクション 前半は、中央ベンチよりも南側にある 以下の 9 区画(仮称)を掲載する。
番号 区画の名称 主な種
 台湾産 コーナー  キンモウツツジ、シカヨウツツジ など
 平戸ツツジ  ヒラドツツジ の園芸品種
 大山マツツジ  オオヤマツツジ と園芸品種
 黐ツツジ  モチツツジ と 変種、園芸品種 など
 琉球ツツジ  リュウキュウツツジ と園芸品種、キシツツジ など
 山ツツジ  ヤマツツジ と 変種、品種、園芸品種 など
 皐月  サツキ、マルバサツキ その他の原種や品種
 セイシカ  セイシカ、アマミセイシカ、
 日陰ツツジ  ヒカゲツツジ
    ツツジ の和名 ・学名 の由来

ツツジの学名も難しいが、例によって まず 『GRIN』 の学名を基準に、次に 『 INDEX Kew』、 さらには各種事典を参考にした。

解説については 『園芸植物大事典/小学館』(1994)のツツジ属、国重正昭/竹内照雄 両氏による記述が詳しいので 各所で引用させていただくが、遺伝子解析が進んだ現在では、分類や学名が違ってきているかもしれない。
原産地や種類別にロープで区分けされているので、区画番号を付け、 などの小見出しでリストを作った。
園内にはほかにも各所にツツジがあるが、場所別にするよりも 種類別に並べた方が分かり易いので、ツツジ園コーナーに続けて 色の小見出しで リストアップし、備考欄に場所を記載した。
名称 学名欄の色について (GRIN および 園の名札に基づく)
:原 種 :変種・品種 :交雑種
:園芸品種



区画 ❶ 台湾産 コーナー  : サクラ林側入り口の手前
ツツジ園の 区画番号 ❶ 台湾産

名称・花の撮影日 学 名 花 ・ 葉 備 考
ケシベツツジ
毛蘂

2014.5.13
R. lasiostylum
(1913)
ツツジには子房に毛の有る種ばかりだが、本種は花柱にも毛があ。
GRIN にある
ケシベツツジの
変種

ウライツツジ
烏来?
2014.4.29
R. laslostylum
var. kanehirai
キンモウツツジ
金毛

2013.4.28
R. oldhamii
Maxim.
(1870)
葉などの毛が
  黄色いため
GRIN にある
シカヨウツツジ
志佳陽

2013.5.15
R. sikayotaizanensis
(1939)
和名は、台中 志佳陽大山で採取されたため

花は小さく 径 約25ミリ
GRIN には無し
INDEX Kew にはある
ナカハラツツジ
中原

2013.6.18
R. nakaharae
(1908)
記載は nakaharai
中原 げん氏を顕彰

別名:タイワンアザレア
GRIN にある
ナンオウツツジ
南澳

2013.5.15
R. breviperulatum
(1913)
台湾北部の宜蘭県に 「南澳郷」がある。

種小名の意味は「短い芽層のある」、冬芽の状態だろうか
GRIN には無し
INDEX Kew にはある
R. は Rhododendronの略、  以下同様


 

区画 ❷ 平戸ツツジ コーナー  : サクラ林側入り口の手前 左側
ツツジ園の 区画番号 ❷ ヒラドツツジ
ヒラドツツジ R. x pulchrum はその名の通り 長崎県平戸市に由来する。
平戸市は江戸時代に貿易港として栄えた町であり、貿易船と共に 沖縄のケラマツツジ [R. scabrum]や 中国のタイワンヤマツツジ [R.simsii]が早くから紹介され 武家屋敷に植栽されて、日本産のモチツツジ 、キシツツジ との間で自然交雑が起こった。
その中から 1951年(昭和26年)以降に選抜されて、ヒラドツツジとして 300近い品種が命名されている。 世界中で最も大型のツツジのひとつといえる。
              『園芸植物大事典/小学館』 ヒラドツツジの要約
雑種名 pulchrum は 「美しい」の意味。

なお GRIN には、ヒラドツツジは サツキ R. indicum と リュウキュウツツジ
R. mucronatum の交雑、と明記されている。
名 称 学 名 花 ・ 葉 備 考
ヒラドツツジの
園芸品種

シュンセツ
春雪
2013.4.23
R. x pulchrum
cv. Shunsetsu
 R. x pulchrum は
 GRINにある
ヒラドツツジの
園芸品種

センエオオムラサキ
千重大紫
2011.4.29
R. x pulchrum
cv. Sen-e-
ohmurasaki
オオムラサキツツジの八重品種

⑧:メタセコイアの前にもある
ヒラドツツジの
園芸品種

タイホウ
大鳳
2013.4.23
R. x pulchrum
cv. Taihou

ヒラドツツジ系 その他の場所
名称 学 名 花 ・ 葉 備 考
ヒラドツツジの
園芸品種

オオムラサキ
大紫
2009.5.5
R. x pulchrum
cv. ohmurasaki
⑤:  ⑧:
20番通り ツツジ園を過ぎて、標識23番の先 両側が、オオムラサキの植え込みとなっている。  メタセコイアの前
 千重大紫もある

 その他いたる所に
     ハナショウブ池 マツ林入口
ヒラドツツジ
平戸
( 雑種 )

2011.4.5
R. x pulchrum ⑥:
日本庭園からの階段をのぼった所
GRIN にある


 

区画 ❸ 大山ツツジ コーナー  : サクラ林側入り口の すぐ右側
ツツジ園 の区画番号 ❸ オオヤマツツジ
オオヤマツツジの名は、過去にヤマツツジ R. kaempferi の地方変種と考えられていた事に由来する。 植物園の名札や『朝日百科/植物の世界』では R. transiens で、独立した種としている。 違いはヤマツツジの雄しべが通常5本なのに対して、オオヤマツツジは(6~)10 本。
種小名 transiens は、「間種を作る」 つまり 雑種ができやすいという意味である。
:原 種 :変種・品種 :交雑種
:園芸品種

名称 学 名 花 ・ 萼 ・ 葉 備 考
オオヤマツツジ
大山

2013.4.18
R. transiens
(1922)
雄しべ 10本
学名、GRIN には無し
INDEX Kew にはある
オオヤマツツジの
品種
シロバナ
オオヤマツツジ

白花大山
2013.4.18
R. transiens
f. Shirobana-
oyamatsutsuji
花弁の先が丸い
オオヤマツツジの
園芸品種

エドハナビ
江戸花火
2013.4.28
R. transiens
cv. Edohanabi
萼が花弁と同型の二重咲き
花が多すぎて、二重の様子がわかりにくい
オオヤマツツジの
園芸品種

シラタキ
白滝
2013.4.28
R. transiens
cv. Shirataki
二重咲きだが、が「花弁化」したもので、非常に珍しい

完全二重も多い
オオヤマツツジの
園芸品種
チョウトン
朝暾

2014.4.27
R. transiens
cv. Chôton
小型の花で、ピンクと白 あるいは絞りがある
オオヤマツツジの
園芸品種

ニシキノツカサ
錦の司
2013.4.18
R. transiens
cv. Nishikinotsukasa
白、赤紫の単色と
絞りが枝変わりに
オオヤマツツジの
園芸品種
ニシキノツカサ
フクリン
錦の司覆輪
R. transiens
cv. Nishikinotsukasa
fukurin
覆輪となっていないものも多い
「覆輪」とは 本来、刀の鍔つばや茶碗など 器物のへりを金属の類でおおい飾ったものだが、園芸種では 花弁の周囲だけに色があるもの、逆に周囲が白いものをいう。
オオヤマツツジの
園芸品種
ムラサキザイ
紫ザイ

2014.4.23
R. transiens
cv. Murasakizai
さい咲き とは花弁が細く変化した種をいう
オオヤマツツジ
園芸品種
ヤマンバ
山姥

2014.4.23
R. transiens
cv. Yamanba
オオヤマツツジよりも 花弁が細いか?

山姥の由来は不明

オオヤマツツジ系 その他の場所
名称 学名 花 ・ 萼 ・ 葉 備考
オオヤマツツジの
園芸品種
アスカガワシボリ
飛鳥川絞

2014.4.27
R. transiens
cv. Asukagawashibori
10番通り 左側
イロハカエデ並木

「絞り」ではなかった
オオヤマツツジの
園芸品種

アスカガワ
飛鳥川
2013.4.13
R. transiens
cv. Asukagawa
⑧:70番通り
  メタセコイアの前
オオヤマツツジの
園芸品種

ハツシモ
初霜
2013.4.13
R. transiens
cv. Hastushimo
⑧:70番通り
  メタセコイアの前

飛鳥川と隣り合わせ
オオヤマツツジの
園芸品種

シホウデン
紫鳳殿
2014.4.24
R. transiens
cv. Shihouden
萼が花弁化した
 二重咲き
⑧:70番通り メタセコイアの看板の前

左 白鳳殿、 右 紫鳳殿
オオヤマツツジの
園芸品種

ハクホウデン
白鳳殿
2014.4.24
R. transiens
cv. Hakuhouden
萼が「半」花弁化した
 二重咲き

ピンクの絞りもはいる
紫鳳殿 と 白鳳殿の
 中間タイプもある
オオヤマツツジの
園芸品種

ワカムラサキ
若紫
2014.4.15
R. transiens
cv. Wakamirasaki
⑧:70番通り
  メタセコイアの前


 

区画 ❹ モチツツジ コーナー  : サクラ林側入り口の すぐ左側
ツツジ園 の区画番号 ❹ モチツツジ
モチツツジの名は、葉や萼などに腺毛があって ネバネバする事に由来する。

しかし 種小名の macrosepalum はその特徴を捉えたものではなく、「萼片が長い」という意味である。 名称 学名欄の色は以下とし、GRIN および 園の名札に基づく。
:原 種 :変種・品種 :交雑種
:園芸品種

名称 学名 花 ・ 萼 ・ 葉 備 考
モチツツジ
R. macrosepalum
(1870)
雄しべ 5本

正門右手 フェンスにも
GRINでは異名

R. stenopetalum
モチツツジ の
変種

シロバナモチツツジ
白花黐
2013.4.28
R. stenopetalum
var. leucanthum
変種名 leucanthum は「白花の」の意味

花冠中央の斑紋は 濃い黄緑色
モチツツジ の
変種

アワノモチツツジ
阿波の黐
2013.4.28
R. stenopetalum
var. decandrum
変種名 decandrum は「雄しべが十本の」
の意味
通常のモチツツジ系は五本
モチツツジ の
園芸品種

ギンノサイ
銀の「サイ」
2013.4.23
R. stenopetalum
cv. Ginnosai
この品種の「サイ」の字は、「摩」の手の部分が毛で、漢字一覧表には無かった 
「サイ」は 鷹匠が昔合図に使った道具と言われ、戦国時代の「采」「采配」(右図)と同じような物だと考えられる。

「サイ咲き」「采咲き」(さいざき)は、細長く変化した花弁を 采配の「房」に見立てたもので、「紙垂」「四手」(しで)と同じである。             (図は Wikipedia より)
モチツツジ の
園芸品種

コチョウゾロイ
胡蝶揃
2013.4.28
R. stenopetalum
cv. Kochouzoroi
モチツツジの特徴である長い萼に、多くの毛がある
モチツツジ の
園芸品種

ザイギョウ
西行
2014.4.27
R. stenopetalum
cv. Zaigyo
品種名は さい咲きの「サイ」と「西行」の掛詞か?
モチツツジ の
園芸品種

シデグルマ
四手車
2014.4.24
R. stenopetalum
cv. Shideguruma
モチツツジには、花弁や葉が細い品種がいくつもある。
モチツツジ の
園芸品種

スルガマンヨウ
駿河万葉
2014.5.1
R. stenopetalum
cv. Surugamanyo
一箇所に付く花の数が5つと多く、しかも八重咲きなので、重たそうだ
モチツツジ の
園芸品種

セイカイハ
青海波
2013.4.23
R. stenopetalum
cv. Seikaiha
シデグルマよりも さらに細い花弁
モチツツジ の
園芸品種

フイリモチツツジ
斑入り黐
2014.5.1
R. stenopetalum
cv. Varieratum
出葉間もないためかもしれないが、赤味の入った味のある斑入り
モチツツジ の
園芸品種

ホシグルマ
星車
2014.4.23
R. stenopetalum
cv. Hoshiguruma
細長い花弁の形を星になぞらえた

モチツツジ系 その他の場所
名称 学名 花 ・ 萼 ・ 葉 備 考
モチツツジ の
園芸品種

ハナグルマ
花車
R. stenopetalum
cv. Hanaguruma

③:メインスロープ上部



 

区画 ❺ 琉球ツツジ コーナー  : サクラ林側入り口の 左手
ツツジ園 の区画番号 ❺ リュウキュウツツジ
リュウキュウツツジの名は、沖縄諸島に由来するものだが、本州や四国にもあるようだ。 GRIN では、独立した種となっているが、以前はモチツツジとの雑種と考えられていため、小石川植物園の名札は R. x mucronatum である。
モチツツジと同様に新芽などに腺毛があり、近縁と考えられている。

種小名 mucronatum は、「微凸頭の」。 おそらく 葉の形状を捉えたものだと思うが、はっきりしない。
名称 学名 花 ・ 萼 ・ 葉 備考
リュウキュウツツジ
琉球
R. mucronatum
(1834)
 園には植栽無し
GRIN にある
キシツツジ


2014.4.23
R. ripense
(1908)
GRINでは リュウキュウツツジの変種

和名は、川岸に生えるところから
R. mucronatum
var. ripense
リュウキュウツツジ
園芸品種

オビキシボリ
尾引絞
2014.4.23
R. x mucronatum
cv. Obikishibori
花冠が6裂の奇形が
いくつかあった
リュウキュウツツジ
園芸品種

キョウカノコ
京鹿の子
2013.4.28
R. x mucronatum
cv. Kyoukanoko
大きく絞りがはいったもの以外に、ほぼピンク一色や赤紫もある
リュウキュウツツジ
園芸品種

シラユキ
白雪
2013.4.28
R. x mucronatum
cv. Shirayuki
リュウキュウツツジ
園芸品種

シロリュウキュウ
白琉球
2014.4.23
R. x mucronatum
cv. Shiroryukyu
きれいな 白
リュウキュウツツジ
園芸品種

ナンキンムラサキ
南京紫
2013.4.28
R. x mucronatum
cv. Nankinmurasaki
リュウキュウツツジ
園芸品種

フジマンヨウ
藤万葉
2013.4.3
R. x mucronatum
cv. Fujimanyo
雄しべが花弁化したもの。 もとの花弁は5枚

菊のようになるものも
ヒラドツツジの
園芸品種

ユキドウジ
雪童子
2013.4.28
R. x pulchrum
cv. Yukidouji
ヒラドツツジ系が紛れ込んでいる

確かに雰囲気が違う

リュウキュウツツジ系 その他の場所
名称 学名 花 ・ 萼 ・ 葉 備 考
リュウキュウツツジ
園芸品種

ウスヨウ
薄葉
2013.4.28
R. x mucronatum
cv. Usuyou
ツツジ園内のベンチ横
リュウキュウツツジ
園芸品種

セキデラ
関寺
2013.4.28
R. mucronatum
cv. Sekidera
20番通り沿い。 ツツジ園入口よりも手前
リュウキュウツツジ
園芸品種

ウスヨウ
薄葉
2013.4.28
R. x mucronatum
cv. Usuyou
関寺の隣

ツツジ園ベンチ横のものよりも色が白く、関寺と変わりない
間違いではないか?


 

区画 ❻ 山ツツジ コーナー  : サクラ林側入り口の先  右手
ツツジ園 の区画番号 ❻ ヤマツツジ その他
国内の広い範囲に分布する、半落葉性のツツジ。 事典によっては、そして 植物園の名札も、キリシマツツジ R. obtysum の変種 になっているが、GRIN や『園芸植物大事典/小学館』 では独立した種、 R. kaempferi の名を採用している。

名称 学名欄を、GRIN および 園の名札に基づいて、以下のように色分けした。
:原 種 :変種・品種 :交雑種
:園芸品種

名称 学名 花 ・ 萼 ・ 葉 備考
ヤマツツジ
R. obtusum
var. kaempferi
雄しべ 5本

R. kaempferi
Planch. (1854)
種小名は、江戸時代 ツュンベリーよりも前に日本にやってきたドイツ人、ケンペル(1651-1716) を顕彰したもの。 100年以上も経ってから、フランス人のプランチョンが名付けたわけは、ケンペルが著した見聞録 『廻国奇観(異邦の魅力)』(1712) に、ヤマツツジが記載されていたためである。 ただし 学名の記載はなかった。
園の名札は キリシマツツジの 変種 となっている
ヤマツツジの
品種

ヤエヤマツツジ
八重 山
2014.4.7
R. kaempferi
f. komatsui
萼が花弁と ほぼ同型の二重咲き

品種名は、恐らく「小松春三」(1879-1932)を顕彰したもの
ヤマツツジの
変種

オオシマツツジ
大島
R. kaempferi
var. macrogemma
別名:
  オオシマヤマツツジ

伊豆七島、伊豆半島南部に分布する地方変種
サタツツジ
佐多
園の名札は 別名:サタヤマツツジ

鹿児島県の標高1,000 mぐらいまでの明るい丘陵草原や低山に自生する地方変種
R. x obtusum

キリシマツツジ
R. obtusum
鹿児島県の大隅半島と薩摩半島に分布、自生地に近い佐多岬にちなんで名付けられた。 『園芸植物大事典/小学館』   異名 : R. sataense Nakai
ヤマツツジの
変種

ミカワツツジ
三河
R. kaempferi
var. mikawanum
別名:ミカワヤマツツジ

愛知県三河地方の丘陵地帯に分布する地方変種

学名は名札による
ヤマツツジの
品種

ヤエミカワツツジ
八重三河
R. kaempferi
var. mikawanum
f. plenum
学名は名札による

萼が花弁化した 二重
花弁化が不完全なものもある
ヤマツツジの
品種

エゾヤマツツジ
蝦夷山
2014.4.23
R. kaempferi
f. latisepalum
北海道、本州
ヤマツツジの
品種

シロヤマツツジ
白 山
2014.4.23
R. kaempferi
f. album

= R. kaempferi
' Album '
( GR I N )
黄緑の斑点がきれい

GRINでは ヤマツツジ
  と同一種 (栽培品種)
ヤマツツジの
園芸品種

カガリビ
篝火
2014.4.24
R. kaempferi
cv. Kagaribi
極細の「さい咲き」、あるいは花弁は退化して、雄しべだけが目立つのかも知れない

近づけないので詳細不明
ハンノウツツジの
園芸品種

セキモリザイ
関守采
2014.5.13
R. x hannoense
cv. Sekimorizai
「関守」の采咲き種
采咲きとなっていない部分では、雄しべが花弁化

本来隣の コーナー❼ に植えるべきもの。 学名 未確認


 

区画 ❼ サツキ・ハンノウツツジ コーナー  : サクラ林側入り口から ベンチの手前 右手
ツツジ園 の区画番号 ❼ サツキ、マルバサツキ その他
この区画には 日本固有種を中心に、様々な種類が植えられている。
名称 学名 花 ・ 萼 ・ 葉 備考
サツキ
皐月

2014.5.13
R. indicum 日本固有種だが、学名は「インドの」、雄しべは 5本。
関東以西と九州南部で、四国には分布しない
GRIN にある
サツキの品種
オタクミサツキ

2014.5.15
R. indicum
f. otakumi
采咲き種で、屋久島に自生するもの。 オタクミ は地名のようだが、未確認
マルバサツキ
丸葉 皐月
R. eriocarpum 日本固有種、雄しべ10本。
鹿児島南部、屋久島、沖縄

初めはサツキの変種とされたが、種に変更された
GRIN にある
シナヤマツツジ
支那 山

2014.4.24
R. simsii 雄しべ 10本。
別名 トウヤマツツジ、タイワンヤマツツジ
奄美・沖縄、台湾、中国南部
GRIN にある GRIN では、本種を「マルバサツキ」としている
ケラマツツジの
変種
ヤクシマ
ヤマツツジ

屋久島 山
2014.4.24
園の名札 ケラマツツジの変種で、屋久島に自生する

学名は各種事典を参照した
R. yakuinsulare
R. scabrum
var. yakuinsulare
フジツツジ


2013.4.4
R. tosaense 日本固有種
高知県土佐をはじめ、近畿南部、四国、九州 の太平洋側。
和名は、藤の花の色からといわれるが、実物は藤色よりもピンク系。 花径 3センチ弱
GRIN にある
シロバナフジツツジ
白花 藤

2013.4.3
R. tosaense
f. albiflorum
フジツツジの白花種

フジツツジの雄しべは5~8。
別名 メンツツジ。 同じく土佐地方に生える「オンツツジ」と対の名前
ウンゼンツツジ
雲仙

2013.4.3
R. serpyllifolium 日本固有種、雄しべ5本。
花径 2センチ強と、花も葉も小型の種
伊豆半島、紀伊半島、四国南部、大隅半島
GRIN にある
別名に ウンゼンツツジ の名を持つ 「ミヤマキリシマツツジ」とは別種。
アシタカツツジ
愛鷹
R. komiyamae 日本固有種
静岡県東部の愛鷹山など、富士山とその周辺の温帯山地に固有
自生地では大きくなる
GRIN にある
ハンノウツツジ
飯能

2014.5.13
R. x hannoense 学名は名札による
サツキとヤマツツジの雑種といわれている

埼玉県飯能市天覧山付近で発見されたとの情報あり
ハンノウツツジの
品種

セキモリ
関守
2014.5.13
R. x hannoense
cv. Sekimori
萼はあるので、ハンノウツツジの雄しべが花弁化したもの

咲きかけはバラのよう
ハンノウツツジの
品種
コマチボタン
小町牡丹
R. x hannoense
cv. Komachibotan
小町牡丹の名札の後ろで開花株があったが、「関守」に似ているため、掲載は見送る

区画の中心にあって詳細な観察ができない
ハンノウツツジの
品種

シギョクノカツラ
紫玉の桂
2014.5.1
R. x hannoense
cv.
Shigyokunokatsura

サツキ その他の場所
名称 学 名 花 ・ 葉 備 考
サツキの
園芸品種

オオサカズキ
大盃
2009.5.5
R. x pulchrum
cv. Osakazuki
 ②:メインスロープ 左側


 

区画 ❽ セイシカ コーナー  : サクラ林側入り口から ベンチの手前 左手
ツツジ園 の区画番号 ❽ セイシカ その他
琉球、台湾、中国産を集めたコーナー
名称 学名 花 ・ 萼 ・ 葉 備考
アマミセイシカ
奄美西施花

2007.4.8
R. tosaense 日本特産、本州・四国・九州
学名の命名は 牧野富太郎

多くの芽鱗がある花芽から
それぞれひとつの花が咲く
GRIN にある
つぼみの状態

セイシカと違って、細長い
新葉は後から出る
セイシカ R. latoucheae 別項 セイシカ 参照

琉球諸島。中国全土、台湾
GRIN にある
バイカツツジ R. semibarbatum 北海道、本州、四国、九州

学名は「少し髭のある」

2015年も 花は咲かず
GRIN にある
マルバ
バイカツツジ

丸葉梅花

2014.4.15
R. ovatum 中国、台湾 原産
バイカツツジとは別種で、共通点も少ない。

学名は「卵円形の」葉による
GRIN にある
和名の「梅花」は通常のつつじの花とは違って、平開(平らに開く)ためだろう。(写真右)
マルバサツキの
変種
センカクツツジ
尖閣

2014.5.15
R. eriocarpum
var. tawadae
学名は名札による

生育地の関係でこのコーナーに植えられたのだろう


 

区画 ❾ ヒカゲツツジ コーナー  : サクラ林側入り口から見て ベンチの左側
ツツジ園 の区画番号 ❾ ヒカゲツツジ
ヒカゲツツジ 一種だけが植えられたコーナー。
名称 学名 花 ・ 萼 ・ 葉 備考
ヒカゲツツジ
日陰

2007.4.8
R. keiskei 日本特産、本州 関東中部以西・四国・九州

学名は 標本を採取した 伊藤圭介(1803-1901)を顕彰したもの
GRIN にある
狭い区画に残っているのは 1本だけ。 常緑

2014年4月に、別の2本が植えられた



 
名前の由来 ツツジ Rhododendron

ツツジ属・科 躑躅 : 
まず 漢字の「躑躅」は ツツジに漢名のひとつを当てただけで、ツツジの直接の由来ではない。 平安前期から使われ始めたそうだ。

「躑躅 てきちょく」の意味は 「躊躇する、足踏みする」であり、本来 中国に自生して猛毒のある 「羊躑躅 シナレンゲツツジ」 のことを指す。 羊がこの葉を食べてもがいて死んだという話、あるいは食べるのに躊躇するため、とされる。
和名 ツツジ の由来には様々な説がある。

『語源辞典』の吉田金彦氏は それを一つに絞らず、①ツヅキサキキ(続き咲き木)、②ツヅリシゲル(綴り茂る)、に加えて、中国の「躑躅 teki-tchok 」が伝わってさらに変化した朝鮮語の ③ tchyok-tchyok あるいは tchol-tchuk という言葉も伝来していただろう事を重ね合わせて以下のように推定している。

「ツツジが次々と咲いて 群がっている」様を、” ツドウ 集う ” の語根 ” ツ 処 ” を重複させた「ツツ」に、似たようなものを表す接辞語” ジ ” を付けた語となった。

このほかに、合弁花であり 「筒状の花」を略した「ツツジバナ」が、さらに短く 「ツツジ」となった、という説もある。

Rhododendron 属 : バラの木 の意味
ギリシア語の rhodon バラ + dendron 木 から、ということだが、バラにも紅白その他いろいろあるので、一概に赤い花とは限らないだろうが、つつじ色と言えば、少し紫を帯びた鮮やかな赤を指す。当然のことながら一重の花。
つつじ色の オンツツジ

Ericaceae
ツツジ科の基準となる属が Erica属で、科名は Ericaceae である。
erica の由来は、ギリシア語の ereiko 破る ということだが、ツツジ類で「破る、破れる」といえば、果実だろうか?
なお、中国のツツジ科は 杜鵑花科である。「杜鵑 du juan」 はホトトギスで、5月頃「ホトトギスが鳴くころに咲く花」の意味。



植物の分類 : APG II 分類による ツツジ の位置
原始的な植物
 緑藻 : アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など
 シダ植物 :  維管束があり 胞子で増える植物
小葉植物 : ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など
大葉植物(シダ類): マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、オシダなど
 種子植物 :  維管束があり 種子で増える植物
 裸子植物 :  種子が露出している
ソテツ 類 : ソテツ、ザミア、など
イチョウ類 : イチョウ
マツ 類 : マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など
 被子植物 :  種子が真皮に蔽われている
被子植物基底群 : アンボレラ、スイレン、など
モクレン亜綱 : コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など
 単子葉 類 : ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、ツユクサ、ショウガ、など
真生双子葉類 : キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など
中核真生双子葉類: ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など
以前の分類場所  ツツジ目  キリラ科、ツツジ科、リョウブ科、イチヤクソウ科、など
バラ目 群 :
バラ亜綱: ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など
マメ 群: ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など
アオイ群: アブラナ、アオイ、ムクロジ、など
キク目 群 :
キク亜綱: ミズキ、ツツジ、など
 ツツジ目  サガリバナ科、ツバキ科、カキノキ科、ツツジ科、エゴノキ科、など
ツツジ科  ホツツジ属、エリカ属、ネジキ属、アセビ属、ツツジ属、など多数
シソ 群 : ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など
キキョウ群: モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など
後から分化した植物 (進化した植物 )           
注) 以前の分類とは クロンキスト体系とするが、構成が違うので、APG分類表の中に表現するのは正確ではない事もある。 その場合はなるべく近い位置に当てはめた。

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