バウヒニア・グラウカ ssp.テヌイフロラ
ヒメソシンカ 姫ソシンカ(仮名)
Bauhinia glauca subsp. tenuiflora K.Larsen & S.Larsen
← Bauhinia tenuiflora G.Watt ex C. B. Clarke
科 名 : ジャケツイバラ科 Caesalpiniaceae
APG分類:  マメ科 Fabaceae
属 名 : ハカマカズラ属 Bauhinia Linn. (1737)
中国名 : 薄叶羊蹄甲 bao ye yang ti jia 、(←誤り)
密花羊蹄甲、浅裂叶羊蹄甲
原産地 : 中国 雲南省・広西壮族自治区、ベトナム、
カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ
用 途 : 葉をさまざまな薬として使う。止血、咳止め、
脱肛、子宮脱垂 など
撮影地 : 中国

熱川バナナワニ園が主催する、熱帯植物観賞ツアー2008 に参加した時に見かけたもの。
場所は 雲南省の中でも最西部の徳宏タイ族チンプオ族自治州である。

つる性なので樹形はない。  左は、ある木にまとわりついている様子である。

つるが伸びる様子
各葉腋から「枝」が伸びるため、葉の数が多くなる。
ツル性だけに、枝の方の葉腋には1本ずつ巻きひげが付く。

葉の様子
葉の切れ込みが小さいのが特徴で、全体の6分の1 以下である。
若い葉は赤みがかかり、細かな毛がある。

花の様子
ひと房に多くのつぼみが付き、たくさん咲いているので、一日ではなくて何日間か 咲いていると思われる。  花弁はスプーン型で ほぼ同じ形をしている。

本来10本ある雄しべのうち、葯がある完全なものは下側の3本しかなく、残りは短くて 退化しているものもある。 赤い部分は その退化した雄しべの基の部分。

名前の由来 Bauhinia glauca subsp. tenuiflora

和名 : なし
仮名 ヒメソシンカ 姫ソシンカ : 小さい花の という意味
亜種名 tenuiflora : 細小花の
これまで、昆明植物園にあった Bauhinia brachycarpa に「ヒメソシンカ」という仮名を付けていたが、本種の亜種名が tenuiflora(細小花の)であるため、変更する。

Bauhinia brachycarpa の方は、種小名の意味から「タンカソシンカ 短果ソシンカ」 としたい。
 
種小名 glauca : 灰青色、帯白色の、蒼白の という意味
検索しても、Bauhinia glauca そのものの画像が見あたらないので、命名の由来や 本種との違いなどは不明である。
 
中国名 薄叶羊蹄甲 :
『雲南天然薬物図鑑』のタイトルがそうなっていたのだが、薄葉(叶)は tenuifolia の意味であるため、誤りであろう。
むしろ、別名としてあがっている 密花羊蹄甲 の方が適切である。

中国の文字は省略形が多いが、「叶」は 葉のことである。
 
Bauhinia ハカマカズラ属 :
日本に産する 唯一のバウヒニア属こそ「ハカマカズラ」である。
ハカマカズラ
左の写真は、小石川植物園の温室で育てられているもの。
ハカマの先が尖っており、以前 春日健二氏のホームページ「日本の植物たち」からお借りしたものとよく似ている。

右の写真は、高知県足摺岬にある「足摺亜熱帯植物園」で自然の状態で育っているものである。
目の高さには葉が無く、高いところを見上げている。
葉先が丸いものがある。
 

ハカマカズラ属の もう少し詳しい内容については、「アカバナソシンカ」の項の記述を見ていただきたい。

なお、ハカマカズラ属の中国名は「羊踵甲属」である。

ジャケツイバラ科 :
ジャケツイバラについても 別項を参照のこと。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
        雲南天然薬物図鑑/雲南科技出版社
        GRIN/Taxonomy for Plants/アメリカ農務省
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