カリアンドラ・スリナメンシス
Calliandra surinamensis Benth. (1844)
和 名 : ガイアナネムノキ (仮)
科 名 : ネムノキ科 Mimosaceae
(マメ科 Leguminosae)
属 名 : ベニゴウカン属
  Calliandra Benth. (1840)
原産地 : ガイアナからブラジル
用 途 : 庭木
撮影地 : ガイアナ協同共和国
ドミニカ共和国

ガイアナの首都ジョージ・タウン、仕事で出かけた同国の保健省の入り口横に植えられていたものである。
花はアメリカネムノキに似ているが、葉の形に特徴がある。
 
樹形 樹高は2.5 m
このように 横に広がる低木である。
 
花のアップ ドミニカの花
つぼみの状態では、花が半球状にたくさんあることがよくわかる。
花弁はほとんど目立たず、ピンク色の長い雄しべが目立つ。

右側のドミニカで見たものは、いくつかの雄しべの基部が、まるでラッパ型の花びらのように長くなっていた。
変種か別の種類と思われる。
 
豆のサヤ
莢は大きくなく、実の数は2・3個のようだ。
黄緑の若いサヤとすでに割れた古いものが付いている。
 
カリアンドラの葉 ネムノキの葉
木にはたくさんの葉が付いていて わかりにくいため、左の写真は一部を折って撮影したもの。

本種も羽状複葉の一種であるが、右のネムノキのような多数の羽状の複葉ではなく、「一枚の葉」の複葉の数は二枚のみである。
ただしこれはカリアンドラ属共通ではなく、なかにはネムノキのような複葉の種もある。
 
名前の由来 
カリアンドラ・スリナメンシス Calliandra surinamensis

仮の和名 ガイアナネムノキ : ガイアナ原産のネムノキ
種小名からすると当然 スリナムネムノキ であるが、出張で出かけたガイアナ協同共和国で見たことににちなんで、勝手にガイアナネムノキと命名した。
 
種小名 surinamensis : スリナムの
原産地(のひとつ)を示している。
 
  スリナム : 南アメリカ大陸北部の国
Wikipedia より
ベネズエラの東には3つの小さな国が並んでいる。
西から「ガイアナ協同共和国」、「スリナム共和国」、一番東は1946年まで植民地だったフランス領ギアナ(現在はフランスの海外県)であり、中南米にあって、それぞれ英語、オランダ語、フランス語が公用語の国々である。

17世紀、これらガイアナ地区はヨーロッパの3つの国が領有権を争っていたが、1667年のブレダ条約で、オランダはアメリカの「ニューヨーク」、当時の地名「ニューアムステルダム」をイギリスに譲る代わりに、スリナムの地を得た。

第二次英蘭戦争(1655〜1667年)でイギリスにマンハッタン島に攻め込まれ、ブレダ条約で割譲された面があるが、今となっては、「歴史上 最も損した買い物」のひとつと言われることもある。
 
Calliandra ベニゴウカン属 : 紅合歓属
学名は、ギリシア語の kallos(美しい) + andros(雄しべ)に由来し、長く目立つ雄蕊にちなんでいる。

和名のベニゴウカン属 は、この属を代表する「ベニゴウカン」の花が、ネムノキ(中国名 合歓)に似ており、雄しべの色がネムノキよりも濃い紅色であるところから名付けられた。
世界の熱帯・亜熱帯に 約200種。

英語では powderpuff、化粧刷毛属である。

 ベニゴウカン
 Calliandra eriophylla Benth. (1844)
テキサス、カリフォルニア、メキシコ原産。 別名 ヒネム 緋合歓。
ベニゴウカンの雄しべは太くて針のようだ。重たいためか、下向きに咲く。
複葉の数は6〜8。

種小名のeriophyllaは、軟毛葉の意味。
葉軸および葉の裏に細くて白い毛が生えているところから。
 
ベニゴウカン
ネムノキ科 : Mimosaceae ( APG分類では マメ科 )
APG分類やエングラーの分類では「マメ科」に含まれ、ネムノキ亜科となる。
ネムノキに代表される長い雄しべが特徴の花を咲かせ、主に熱帯・亜熱帯地方に分布する。
花びらに相当する「花冠」もあるらしいが、まるで目立たず、確かめたことがない。今年の花どきには拡大写真を撮ってみよう。

主な「属」としては、アカシア属、ネムノキ属、ベニゴウカン属、ギンゴウカン属、オジギソウ属がある。

66属 約 3,000種。
 
 参 考
 
 ギンゴウカン 銀合歓 : Leucaena leucocephala de Wit (1961)
← Mimosa leucocephala Lam. (1783)
紅のついでに銀も...。別名ギンネム。

白い雄しべのギンゴウカンの原産はメキシコと中央アメリカ北部であるが、成長力が強いため、世界中の熱帯・亜熱帯地方に野生化しているという。

またグアム島やサイパン島では、戦争で荒れた野原に米軍が空から種を蒔いて、早期緑化を図ったものがはびこってしまい、在来種が繁殖できずにいるということである。『植物の世界/朝日新聞社』

私も沖縄中部の国道沿いで、延々と続く「ギンゴウカン畑」を見たことがある。 本州で「ハリエンジュ」が増えているのと同じ光景だ。

学名の Leucaena leucocephala は、ともに leukos (白の意味) からきており、leucocephala は 白い頭 という意味である。
 

詳しくは、新しくおこした ギンゴウカン の項を参照していただきたい。
ギンゴウカン 鈴なりの若い莢

 
沖縄本島 背丈3m以上もの林となっている
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
        Wikipedia
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