山手線が渡る橋・くぐる橋  − 架道橋 (ガード) ・跨線橋 −


代々木駅
番外.プラットホーム

山手線には珍しい 3面のホームである。
環状運転開始前から「方向別配線」に拘っていた国鉄は、総武線と山手線が二つの駅を挟んで分岐する事に目を付け、代々木駅と新宿駅 どちらかを選ぶことによって、乗り換えが便利な仕組みを作った。


駅の項でも書いたが 現在のホームができたのは大正末期で、旧駅を営業しながら、その隣に 4線 ・3面のホームを新設した。

工事は 1921年(大正10年)頃から開始されたようだが、関東大震災があったために開通が遅れたものと思われる。  使用開始は 一応1924年(大正13年)としておくが、正確な日付は未確認である。

開設時は 6両編成対応の長さであったが、現在は11両。

開設時とあまり変わらぬ 終戦後の状態
1947年(昭和22年)7月 米軍撮影 /国土地理院
←原宿        代々木街道架道橋と踏切                新宿→
              
                      1989年(昭和64年)の様子              国土交通省
上下の写真はほぼ同じスケール。 まだ 10両編成時代。
南側は総武線が大きくカーブしており、北側は総武線乗り越し線が上り勾配となっているため、ホームの延長には大変苦労している。

上側の2線は両方向に延ばし、下側2線は新宿側(北側)に延長した。
 

古レールによるホームの屋根

田端や鶯谷などと同じ 大正末期に作られたホームの上屋は、古レールで3つのホームをつなぐスタイルである。

アーチのリズム
1番線(山手線外回り)から 新宿方向を見ている。

アーチの上下のつなぎはプレートとアングルを加工したもので、美しさは無い。

4番線ホームの屋根は 折板に葺き替えられている。  レールには錆が。
2番線 軒先の木造板は オリジナルなのか、とても雰囲気がある。

屋根の形
屋根は、両端の 1番線・4番線が片流れ、中央ホームが Y型 となる。

中央柱の詳細
中心線はアングルトラスの片側に合わせるので、Y字のプレートは左右非対称となっている。

柱をつなぐトラス桁

アーチ梁 詳細
昔のレールは短いので、何本かをつないで梁を作っている。

ところで、
現4番線ホーム(第三ホーム)は、旧中央線下りホームの位置と重複していると思われる。  その根拠は、すぐ裏に現中央快速線の線路があるため。
第二ホーム完成後に下り線だけ新ホームを使って、その後に旧ホームを造り直したのではないかと考えている。

西口への階段部分 (ホーム南側)
各ホームで唯一だった「二本柱」、左 1番線、右 4番線。  4番線の階段の位置はオリジナルのままだが、1番線の階段は手前に付け替えられたようだ。

4番線の階段室
開設当時と変わっていないような雰囲気である。

階段の新設
建設時期は不明であるが、戦後 ホーム北側に「乗換え用」の地下通路が造られた。 階段は通路を挟んでそれぞれ二ヵ所あり、8〜9本の柱が改修された。

増設階段 中央ホーム
古い柱の下半分を切り取って 新設した二本の柱と梁で受けている。 軽い構造の屋根ならでは。

1番線ホーム 切り取られた 桁
ホームの上に立っていた柱をやめ、壁部分に新しい柱を建ててスペースを確保。
2000年(平成12年)には この通路部分の西側に「北口」が開設された。


  建 築 年 : 1923年(大正12年)9月 震災以前、竣工は未確認
  柱 の 数 :
   1番線ホーム: 2本柱 1本、1本柱 13本、壁付き 10本、 計24本
             1本柱 4本は ホーム延長時に撤去 作り直された。
   2・3番ホーム: 2本柱 一本は改修されている、
             1本柱 13+5本、階段のために加工 9本、計28本
   4番線ホーム: 2本柱 1本、1本柱 13+6本、壁付き 8本 計28本
             1スパン 5ヤード、4.57mで計算すると 123mとなる。
  柱 間 隔 : 約 4.5 m (5ヤード)、
  桁つなぎ : アングルトラス
  棟 高 さ : 約     m (第二ホームの谷)
  屋  根 : 片流れ・谷型・片流れ。もとの母屋 : 木製。 
  屋 根 材 : オリジナルは鉛板か? スレート波板、一部折板に改修

3つのホームの間を、装飾梁がつないでいる。  そして、ホームの屋根が 6両の車両全部をカバーする 「全面上家」は、国内初の試みであった。


 ホーム延長部分

大正時代のホーム移設時の電車編成はわからないが、ホームの長さは6両分 120m強だった。
戦後 8両、10両、11両と延長され、中央のホーム新宿寄りには左右で段差ができてしまい、柵の所々に通り道を設けている。


2番線↑    ともに中央のホームから新宿方向を見ている ↑3番線

危ない段差
総武線下り(右側)が 代々木-新宿 間で左の山手線2線を乗り越すために、すでに勾配が付いているところへ ホームを延ばしたためである。
さらに奥は山手線のホームが終わるため、段差は10cm程度で済んでいる。

中央ホームでの山手線と総武線のずれは、約4両分もある。

新宿方向に延長した総武線ホーム 3番線

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