山手線 が 渡る橋 ・くぐる橋
池 袋 → 大 塚

10. 栄 橋
2010年2月 掲載、2021年1月 改定

さかえはし。 
山手線開通当初は「踏切」で少し大塚寄りの位置にあったが、複々線化されたときに4線に架かる跨線橋となった。
遠 景(池袋側 西巣鴨橋から)
右側2線が当初の「山手線」で、左側の電車線ができたあとは「山手貨物線」となった。
開通当初の踏切はもっとずっと奥 、大塚駅寄りにあった。
宮仲橋・堀之内橋を立体交差化する改良工事のために、貨物線のレベルを下げたのは 画面中央付近から手前なので、栄橋の位置の地面と線路の高さ関係は、昔と同じ状態だろう。
また、右側の法面(土手)の傾斜は「切り取り」工事の時の一般的な角度となっており、電車線開業当時の状態と思われる。

全 景 池袋側より

 
近 景 池袋側より
 
山手線の外側から
コンパクトでおしゃれな橋。
親 柱
和風デザインの 手摺り
ただし、上下ともにプラスチック板が嵌められており、子供には電車が見えない。



栄 橋 の 歴 史

1885(明治18)年:日本鉄道 品川-赤羽 開通
1903(明治36)年:山手線 池袋-田端 開通(複線敷地に単線)
         栄橋付近では 少し大塚寄りに踏切ができた

地図 A:踏切の名称は (仮称)宮仲 1909(明治42)年

1909(明治42)年測図 / 1万分の1 早稲田と王子 / 国土地理院 を合成したものに加筆
開通当時の地名は「北豊嶋郡巣鴨村字宮仲」である。施設の名称には地名を採用することが多いため、本踏切(太い印)の仮称を「第一宮仲踏切」とする。池袋駅寄りにあるもう一つの踏切を「第二宮仲」とした理由は、天祖神社や都心に近い方を「第一」とすることが一般的であるため。
なお、「宮仲」は明治以降には新たに付けられた地名である。

 1910(明治43)年4月:池袋 - 田端間 複線化

地図B:複線化時の状態 1916(大正5)年

1万分の1 早稲田 1916(大正5)年 第1回修正測図 / 大日本帝国陸地測量部 / 国土地理院 / に加筆

踏切があった場所(栄橋から大塚方向を見る)
当時は右側の2線だけで、踏切があった場所は部分的に切り通しが低くなっている所。ところが、現状は印よりも線路のレベルが低い。線路敷きに降りる短い坂道があったのか、線路のレベルがもう少し高かったのか、1万分の1の地図では詳細まではわからない。
山手線の内側から 山手線の外側から

1924(大正13)年: 池袋-巣鴨 複々線化
踏切があった位置では新山手線側で陸橋を渡すだけのレベル差が無かったために、位置を変えて立体化が図られた。

地図C:複々線化時の状態 1929(昭和4)年

1万分の1 早稲田 1929(昭和4)年 第3回修正測図 / 大日本帝国陸地測量部 / 国土地理院 / に加筆
80mほど池袋寄りに初代の橋が架けられ、橋の北詰付近では160m以上にわたって、線路沿いに道路が新設された。

現在の橋は 1995(平成7)年に二代目に架け替えられた。複々線化時に架けられた初代は70年間の寿命があったことになるが、区の土木課に確認したので間違いないだろう。交通量が極めて少ないために長持ちしたのかもしれない。

写真D:戦前 1936(昭和11)年6月
左側のT字型になっているのが 栄橋。白くて新しく見えるが、12年経過した一代目となる。

栄橋付近の様子 (1989年の空中写真)
国土交通省『国土画像情報』より/1989(平成元)年撮影 CKT-89-3/C2-26
                        栄橋



位 置 (終戦後の様子)
1948(昭和23)年の空中写真/国土地理院
池袋駅             旧東京拘置所         大塚駅
栄橋 データ
位 置: 豊島区北大塚三丁目〜東池袋二丁目
管理番号:  −
道路名: 区道
橋 長: 初 代:22.86 m
現在の橋(二代目):24.17 m
幅 員: 初 代:3.6 m
二代目:10.40 m
竣工年: 初 代:1924(大正13)年複々線化時
   コンクリート造
二代目:1995(平成7)年3月
跨ぐ線路: 4線:山手線、湘南新宿ライン
備 考: 竣工年は 橋の銘板による。
宮仲橋よりも竣工が早いのは、改良工事が大塚駅側から進んでいったためである。
名前の由来:  不 明
橋ができた当時の地名「宮仲」は池袋寄りの橋に使われてしまったので、縁起の良い名前として「栄える」が使われたのではないだろうか。
すぐ近くに「出世稲荷」という名のお稲荷さんがあることが関係しているかも知れない。この稲荷は次の空蝉橋に関係するので、そちらで紹介する。


橋からの眺め

スカイ・ツリー 2010.1.27
栄橋から。山手線上にスカイ・ツリーがあり、直線コースなのでどの橋からも見える。取材に行くたびに高くなっている。とっくに東京タワーを越えた。
2010.10.10


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