| ||||
科 名 : | バラ科 Rosaceae | |||
属 名 : | サクラ属 Prunus Linn. サクラ亜属 バクチノキ節 |
|||
中国名 : | 大葉桂桜 da ye gui ying | |||
原産地 : | 本州関東地方以西から沖縄まで 中国 各省、台湾、ベトナム | |||
用 途 : | 昔、葉を蒸留して「杏仁水(ばくち水)」をつくり、咳止め薬として使われた。 |
サクラ類の学名は 各所各人でまったく違うため、サクラ属に関しても、米国農務省のデータベース『GRIN Germplasm Resources Infor. Network』 の学名で統一する。 |
「Prunus サクラ属の分類」については 、別ページを参照のこと。 |
メインスロープの左側、本館の下の斜面に生えている。2本の大木は薄暗い林の中でひょろ長く伸びており、花や実は かなり高い所にしかないため、園外で撮った写真も使用する。 |
幹の様子 2011.6.19. |
小石川植物園の個体は通常の樹形ではないので、参考のために、京都植物園の写真を。 |
樹 形 (京都植物園) 2012.12.23. |
樹皮の様子 | 京都植物園 |
樹皮の表面は黒灰色だが 半分ぐらいが剥落して、中の赤茶色の樹皮が見える。 京都植物園の写真は離れた位置から撮っているので 細く見えるが、幹のサイズは同じぐらいである。京都植物園のものは 一度にほとんどの樹皮が落ちて、全身が赤くなっている。 |
樹皮の詳細 | 幼 木 |
右の写真の手前が 直径 約8センチの若木。まだほとんど樹皮が剥がれていないが、博打に手を出して負けが込むと、次第に身ぐるみが剥がされていく。 『植物の世界/朝日百科』には、「樹皮が脱落して木肌が露出する」との記述があるが、表面が薄く剥がれるだけで 決して木肌が見えているわけではない。2014年の雪害で折れた枝を見ることができた。 |
枝の断面 2014.2.28. |
直径 わずか38ミリの枝だが、樹齢は10数年。樹皮の厚さは1.5ミリほどある。そして 剥がれて赤く見える部分と、剥がれていない黒い部分との「樹皮の厚さ」に ほとんど違いはない。つまり、剥がれたのは表面の 0.数ミリ で、赤茶色の樹皮の内部が見えたのである。 |
剥がれる部分 |
まだ剥がれていない部分の拡大写真。剥がれるのは表面の 濃くなっている一層で、樹皮の厚さの10分の1ぐらいである。 |
冬 芽 2014.2.28. | |
葉の大きさに比べて、冬芽(裸芽に近い)は極めて小さい。冬芽といっても、バクチノキの場合はこの芽が伸び出すまでに、あと半年以上ある。 |
新 芽 2001.12.1. | 葉の様子 2012.10.20. |
京都植物園、葉柄が赤い。 | 幼木には低い所から枝が出ている。 |
托葉と蜜腺 2012.10.24. | ソメイヨシノ |
サクラ属に ほぼ共通する特徴である、早落性の托葉▼ と 蜜腺▼。 |
鋸 歯 2014.2.13. |
黄 葉 2013.7.19. |
黄葉したり 白く色が抜けた後は、褐色になる。葉のサイズは黄色のもので12センチ程度。 |
開 花 2012.10.20. |
小石川ではこの程度にしか撮れない。 |
花の様子 2009.9.13. |
神代植物園。葉腋から複数の花序が出ている。 |
小石川では 2012.10.20. |
前掲写真のようにアップは撮れないので、落ちた小花を新葉に乗せて。 |
若い実 2014.2.28. |
大雪のために折れた枝に付いていたもの。サイズはほぼ成熟大になっている。落下後 2週間経っているので、葉は萎れてきている。 |
大きくなった果実 2012.4.13. |
一部が赤くなってきている。 |
果実 と 核 2012.4.22. |
7ヶ月ほどかけて 翌年の晩春に熟す。果実のサイズは 15mm 前後で、果皮は小豆色だが果肉は白い。核には粗い網目模様がある。 |
実生苗 2012.7.4. | |
人がはいらない場所なので 踏み固められておらず、落ち葉でふかふか。無数の芽が出ているが、その後に育つものは少ない。 |
バクチノキ の 位置 |
E 14 cd | ● | メインスロープ 左側斜面、2本+幼木数本 |
名前の由来 バクチノキ Prunus zippeliana | |
バクチノキ : 博打の木 の意味 |
|
|
種小名 zippeliana : 人名による | ||
|
バクチノキ節 Laurocerasus : 月桂樹桜 の意味 | ||
|
セイヨウバクチノキ 2013.5.15. | ゲッケイジュ 2011.5.31. |
|
セイヨウバクチノキ 2013.4.4. | ゲッケイジュ 2009.4.22. |
Prunus サクラ属 : スモモ から | |
|
植物の分類: | APG II 分類による バクチノキ の位置 |
バラ目であるバラ科サクラ属、クロンキストの分類では当然のように「バラ亜綱」に分類されていた。ところがAPG分類では、バラ目は さらに後から分化した「マメ群」に位置付けられた。 |
原始的な植物 |
↑ | 緑藻 : | アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など | |||||
シダ植物 : | 維管束があり 胞子で増える植物 | ||||||
小葉植物 : | ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など | ||||||
大葉植物(シダ類): | マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、オシダなど | ||||||
種子植物 : | 維管束があり 種子で増える植物 | ||||||
裸子植物 : | 種子が露出している | ||||||
ソテツ 類 : | ソテツ、ザミア、など | ||||||
イチョウ類 : | イチョウ | ||||||
マツ 類 : | マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など | ||||||
被子植物 : | 種子が真皮に蔽われている | ||||||
被子植物基底群 : | アンボレラ、スイレン、など | ||||||
モクレン亜綱 : | コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など | ||||||
単子葉 類 : | ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、イネ、ツユクサ、ショウガ、など | ||||||
真生双子葉類 : | キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など | ||||||
中核真生双子葉類: | ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など | ||||||
バラ目 群 : | |||||||
バラ亜綱: | ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など | ||||||
以前の分類場所 | バラ目 | アジサイ科、ベンケイソウ科、ユキノシタ科、バラ科、など | |||||
マメ 群 : | ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など | ||||||
バラ目 | バラ科、グミ科、クロウメモドキ科、ニレ科、アサ科、クワ科、など | ||||||
バラ科 | カナメモチ属、サクラ属、ヤマブキ属、バラ属、キイチゴ属、など | ||||||
アオイ群 : | アブラナ、アオイ、ムクロジ、など | ||||||
キク目 群 : | |||||||
キク亜綱 : | ミズキ、ツツジ、など | ||||||
シソ 群 : | ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など | ||||||
↓ | キキョウ群: | モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など | |||||
後から分化した植物 (進化した植物 ) |
小石川植物園の樹木 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ |